2022 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中後中枢性疼痛に対するオキシトシンを用いた治療戦略
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22K16586
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 秀悠 東北大学, 大学病院, 助教 (90908641)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オキシトシン / 痛み / 脳卒中 / 中枢性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19感染症の後遺症の一つとして、凝固障害に伴う虚血性ないし出血性脳卒中があり、脳卒中患者の約1割前に認める合併症の脳卒中後中枢性疼痛(CPSP:central post-stroke pain)がある。主に脊髄視床路の障害により麻痺側に一致した痛みを発症数か月後に生じる。麻痺などの神経学的症状が軽快する過程で、下行性疼痛抑制系が障害され、侵害刺激伝達における神経興奮の過剰発火が生じることで発症すると考えられている。CPSPの根治療法は未だ開発されておらず、対処療法が主たる治療となっている。医療費だけがかさみ、患者満足度が必ずしも得られないこともしばしばである。時には話すこともままならない程の強い痛みを生じるため、仮に脳卒中の後遺症が軽度もしくは皆無で社会復帰したとしても、仕事効率が悪くなり、ストレスも溜まり、悪循環の中で心身ともに苦しむ人もいるのが現状である。 一方でオキシトシンは下行性疼痛抑制系を介して身体的疼痛の制御を、また扁桃体内側核および側坐核を介して情動制御をそれぞれしている。この両者への作用が、CPSPの発症早期の根治的治療に寄与すれば、患者本人だけでなく、各人の仕事効率向上がひいては社会全体にも有益ともなり得る。したがってオキシトシンのCPSP治療における有用性を明らかにし、新たな鎮痛薬の開発に繋げることが本研究の目的であった。 令和4年度は、当科で交配して得た野生型およびオキシトシン受容体ノックアウトの各マウスを用いてCPSPモデルマウスの作成を行った。今後令和5年度には、モデルマウスに対してvon-Frey試験による行動評価、またウェスタンブロッティングによる定量的評価を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験施設の施設移動に伴い、交配ケージのリセットが必要となったため、実験の中断やリセットを余儀なくされたこと、またモデルマウスの作成に予想以上に時間を要していることが原因として挙げられる。今後、再度新規施設への移動も予定されているとのことで、効率よく実験が進められるよう、計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型およびオキシトシンノックアウトマウスに対する脳卒中後中枢性疼痛モデルマウス作成を可及的速やかに完了して行動実験による定性的評価やウェスタンブロッティングによる定量的評価に繋げる。令和5年度はまずはここまで計画実行し結果を得ることを目標とする。
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Causes of Carryover |
脳定位固定装置が高価であり、それに伴う付属品も含めて相当の出費を要したことが要因と考えられる。
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