2022 Fiscal Year Research-status Report
プロポフォールの麻酔作用メカニズムの解明:青斑核からの電気生理学的検討
Project/Area Number |
22K16589
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
清野 豊 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (50771200)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロポフォール / 青斑核 / パッチクランプ |
Outline of Annual Research Achievements |
プロポフォールは、GABA-A受容体に影響を及ぼすことで鎮静・催眠効果をもたらす短時間作用型の麻酔薬として広く臨床に用いられているが、その作用機序については現在でも確定していない。睡眠・覚醒と密接な関わりを持つ“青斑核”を起始核とするNA(ノルアドレナリン)ニューロンがプロポフォールの作用点として注目されているが詳細は明らかになっていない。これまでの研究から青斑核からのNAの放出は覚醒を促し、放出抑制は意識消失を延長させることが示唆されることから、青斑核NAニューロンが全身麻酔薬の作用部位の一つである可能性がある。 そこで、全身麻酔薬であるプロポフォールは青斑核NAニューロンの活動を局所においてどのように制御しているのか? プロポフォールの青斑核NAニューロン抑制作用は、NAニューロンへの直接的な作用であるのか、それとも青斑核GABAニューロンを介した間接的な作用であるのか? 直接的あるいは間接的なNAニューロンへのプロポフォールの抑制作用はいかなる受容体を介した応答であるのか?を電気生理学的に明らかにすることを目的とした。 当該年度は5~8週齢マウス青斑核スライス標本のNAニューロンから近赤外線微分干渉顕微鏡を用いて可視下にホールセルパッチクランプ記録を行い、プロポフォール投与時のシナプス伝達の詳細(活動電位に与える影響・微小抑制性シナプス後電流に与える影響等)を解析した。その結果、プロポフォール投与により活動電位発火頻度は有意に減少した。さらに、テトロドトキシン存在下でプロポフォールは微小抑制性シナプス後電流の頻度を有意に減少させ、減衰時間を延長させた。つまりプロポフォールはシナプス前性にGABAの放出を促進すること、シナプス後性にGABA受容体の開口時間を延長させることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス青斑核スライス標本からのスライスパッチクランプ記録を恒常的に的に行っている状態である。プロポフォールに対するシナプス応答の解析が進んでいるため順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
NAニューロンの同定は発火頻度やNA投与に対する応答から容易であったが、GABAニューロンの同定には至っていない。今後、面談でGABAニューロンの部位を確認する等の工夫が必要と考えられる。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに使用したため次年度使用額はわずかであった。次年度は免疫染色に使用する抗体や物品にある程度の金額が必要になると考える。
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