2022 Fiscal Year Research-status Report
レドックス評価による劇症化予測を目的とした心筋炎の非侵襲的診断法の開発研究
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22K16591
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水田 幸恵 九州大学, 医学研究院, 助教 (20906341)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心筋炎 / DNP-MRI / レドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋炎の病態には心筋の酸化ストレスやミトコンドリア機能異常が関わっており、それらを生体イメージングで可視化することで、心筋炎の病態を非侵襲的に評価できる可能性がある。本申請研究では、レドックスイメージング装置を用いて心筋炎の生体内レドックス状態を可視化し、定量的に評価する非侵襲的診断法の開発を目的としている。 ドキソルビシン誘発急性心筋炎モデルマウスと通常マウスの心臓のレドックス状態を比較するため、経静脈的に投与したニトロキシルラジカルが心臓で代謝される速度をDMP-MRIで撮像し、算出し定量的に評価した。その結果、ドキソルビシン群で、コントロール群と比較し有意にニトロキシルラジカルの代謝速度に変化が生じることが確認され、心臓におけるレドックス状態の変化を反映しているものと考えられた。 次に、心筋細胞自体の酸化還元反応のメカニズムを明らかにするために、H9c2(ラット横紋筋由来細胞)とCmPプローブとの反応を電子スピン共鳴装置(ESR)を用いて解析した。ESR信号の減少率は、ミトコンドリア電子伝達経路の複合体IVの阻害剤であるKCNを添加することにより有意に抑制された。また、ドキソルビシンを投与したH9c2細胞ではコントロールに比べESR信号の減少率が抑制された。これらの結果からドキソルビシンを投与したH9c2細胞のCmP酸化還元代謝は、ミトコンドリア機能障害により低下していることが示唆された。さらにミトコンドリア機能を解明するために、H9c2細胞の酸素消費速度を測定したところ、ドキソルビシン投与により有意に低下していた。以上から、少なくともin vitroではミトコンドリア機能障害により、ドキソルビシン投与心筋のCmPレドックス代謝が低下していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初に予定していたin vivo DNP-MRIとin vitroの実験は予定通り進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマウス心筋細胞におけるCmPプローブの代謝の検討及び、薬剤性以外の心筋炎モデルや治療モデルにおけるDNP-MRI評価を行い、早期診断や病態進行、治療効果判定への応用の可能性を引き続き検証していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染の影響により、実験試薬、実験動物の入手が遅れたため。
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Research Products
(2 results)