2022 Fiscal Year Research-status Report
Arf6小胞輸送経路を介した末梢神経から中枢神経における疼痛感作の制御機構
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22K16594
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 諭子 北里大学, 医学部, 助教 (60623105)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / ADPリボシル化因子6(Arf6) / 神経栄養因子受容体(TrkA) / 代謝型グルタミン酸受容体(mGluR) / 小胞輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、NGF刺激が引き金となり生じるEFA6A-Arf6経路によるTrkA受容体の小胞輸送経路と疼痛シグナル伝達制御機構について解明し、EFA6A-Arf6経路の慢性疼痛の新規治療標的の可能性について検討することが目的である。2022年度は、EFA6A-Arf6経路によるNGF、TrkA受容体を介した末梢感作への機能関与と制御機構の解明を目的として、EFA6A遺伝子欠損マウスを用いたNGF投与による慢性疼痛の感受性について行動学的に検討した。さらにEFA6A-Arf6経路のTrkA受容体の小胞輸送への機能関与について検討した。いずれも本研究で明らかにしたい疼痛制御機構の基礎データを得ることができ、次の段階の研究に着手できているため、本研究は概ね予定通りに進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EFA6A-Arf6経路によるNGF-TrkAを介した末梢感作への機能関与と制御機構を解明するため、EFA6A遺伝子欠損マウスを用いたNGF投与による慢性疼痛の感受性について行動学的検討を行った。野生型マウスとEFA6A遺伝子欠損マウスの足底にNGFを投与し、von Frey testで疼痛感受性の変化を比較した。その結果、EFA6A遺伝子欠損マウスはNGF刺激に対する疼痛感受性が低いことを明らかにした。さらに、EFA6A-Arf6経路のTrkA受容体の小胞輸送への機能関与について検討するために、野生型マウスとEFA6A遺伝子欠損マウスの脊髄神経節におけるTrkA受容体とその下流タンパクの局在解析、脊髄神経節から作成した培養細胞を用いて細胞膜表面のTrkAを標識し、NGF刺激によるTrkAの細胞膜発現量を経時的に調べた。その結果、EFA6A遺伝子欠損マウスでは野生型マウスに比べて、NGF刺激後のTrkAの細胞膜発現量が減少していた。現在は、TrkAのシグナル経路の下流で制御されるERK1/2のリン酸化の定量解析に着手している。以上のことから、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後野生型マウスとEFA6A遺伝子欠損マウスの脊髄神経節の培養細胞を用い、TrkA受容体の下流タンパクの定量解析やNGF-TrkA経路と疼痛伝達機構において密接な関係にあると考えられているTRPV1やNav1.8などの受容体の変化も検討し、一次ニューロンにおける疼痛制御機構の検討を行う。さらにArf6小胞輸送経路が治療標的となり得るかを検討するため、Arf6阻害剤を用いた疼痛感受性の変化やArf6ノックダウンによる疼痛の軽減効果を調べ、治療薬としての可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
研究初年度であり実験に着手したばかりのため一部余剰金が発生したが、次年度の研究費と合わせて必要な物品や試薬の購入、学会発表の必要経費として使用する予定である。
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