2022 Fiscal Year Research-status Report
The understanding of early phase of neuropathic pain associated NO and TRPM2
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22K16599
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大西 毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60804573)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / カルシウムイメージング / フラビン蛋白蛍光イメージング / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、神経障害性疼痛など身体に苦痛を伴う疼痛を惹起する病態について、その発症初期段階の機序解明を目指して研究活動を行っている。当該年度は、今後の実験を行う上で最適なモデルマウスの確立を主な目的に検証を行った。 カルシウムイオン結合性の緑色蛍光発色であるGFPを内包するG-CaMPマウスを用いたイメージング法(G-CaMP法)を、これまで申請者が行ってきた wild type マウスによるフラビン蛋白蛍光イメージング法(FFI法)と比較した。麻酔後マウスの頭部を固定し、大脳皮質体性感覚野を経頭蓋的に観察した。刺激は触覚刺激を行い、50 Hzの小刻みにふるえるような刺激と、1 Hzのなでるような刺激をそれぞれ0.5秒間施行した。その結果、刺激に対する最大の反応強度は、50 Hzについては、G-CaMP群が1.984±0.507%に対してFFI群が0.512±0.072%、1 Hzについては、G-CaMP群が1.835±0.337%に対してFFI群が0.291±0.051%と、いずれの刺激でもG-CaMP群で有意に強い反応を認めた。また、G-CaMP群とFFI群のマウスがそれぞれ最大反応強度に達する過程における、半増時間と最大値から基準値まで減弱する半減時間についてそれぞれ調べた結果、1 Hzの触覚刺激に対する半増時間についてG-CaMP群で有意に短縮し、刺激に対するより鋭敏な反応を認めた。 上記の結果については、令和5年6月に開催される日本麻酔科学会第70回学術集会にてポスター形式で成果を発表予定である。また現在は、上記2群に対して温痛覚刺激の実験系を整備し、実験を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では疼痛発症直後モデルマウスの検証と並行して、初期段階の疼痛を誘発する原因物質の候補として念頭に置いた神経型一酸化窒素(nNOS)と、Transient Receptor Potential Melastatin 2 (TRPM2) 受容体の組織学的な検討も行う予定であったが、先述したイメージングの実験にエフォートを割いており、まだ実現できていない。今年度中に疼痛モデルマウスの比較・検証について一定の見解を示し、候補物質の選定と検証に尽力していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた結果の比較や解析作業に加えて、現在はG-CaMP群とFFI群について、温痛覚に対する応答について比較検討中である。これらの成果について適宜発表や公開を行い、レターなどの短編的な形式で論文投稿を行うことも検討中である。 また、当初の研究目的である神経障害性疼痛などの慢性疼痛に移行する初期段階の作用機序解明についてもnNOS、TRPM2を念頭に候補物質を選定し、これらの疼痛に苦しむ患者の減少や苦痛の軽減に少しでも寄与していきたいと考える。
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Causes of Carryover |
物品費については、マウスの購入費や飼育管理費について当初見込んでいた頭数より少なくなったこと、免疫染色の実験を行うことが出来ず、そこで購入予定であった試薬や交代の購入がなかったため当初の予算を使い切ることが出来なかった。また、イメージングの実験系での使用が予想されたマニピュレータなどの装置についても、所属施設に存在する機材を利用した実験が可能であったため、予算が発生しなかった。今年度は薬剤の購入や物品の追加購入、機材のメンテナンスに費用が掛かることが予想されるため、当初の予定交付額を申請したい。 旅費については、引き続きコロナ禍で主としてオンラインによる学会参加にとどまったことで予算の使用がなかったが、今年度は日本麻酔科学会学術集会などに参加し、成果を発表予定のため使用額が生じると考える。
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