2022 Fiscal Year Research-status Report
マウス術後複合性局所疼痛症候群モデルにおける中枢性感作の可視化と治療標的の探索
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22K16617
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寅丸 智子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70594612)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 病的疼痛 / 慢性疼痛 / 中枢性感作 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス病的疼痛モデルとして、坐骨神経の枝である総腓骨神経および脛骨神経を結紮するspared nerve injury(SNI)モデルを用いた。痛覚過敏誘発試験としてvon Frey試験、アセトン試験を行い、モデルが正しく作成できているかを評価した。痛覚過敏誘発試験後に、セボフルラン2-5%で全身麻酔をかけた後、心尖部穿刺よりPBSで血液を洗い出し、4%パラホルムアルデヒドでマウスを灌流固定し、脳組織を摘出した。脳を1mmのスライスに切断し、ScaleS技術を用いて脳組織透明化を行い、直近の神経活動の痕跡を表すマーカーArc(Synaptic Systems社, 156003, 1:500)を標的に蛍光免疫染色を行なった。共焦点顕微鏡(FV3000, エビデント社)を用いて3次元的な画像再構築により脳全体の神経活動を網羅的に解析した。 歯状回におけるArcを標的とした蛍光免疫染色では、sham群、SNI群いずれもArc陽性神経細胞が多く認められたが、SNI群においてArc発現が顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた術後複合性局所疼痛症候群(CRPS: complex regional pain syndrome)モデルは、モデルの安定性を図るのが困難で、従来のCRPSモデルとして報告されているSNIモデルを用いることとした。SNIモデルは手技が確立されており、簡便で、痛覚過敏誘発試験の結果も安定していた。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄後角にneuro tracerを打ち、マウスSNIモデルの痛覚過敏に関わる、脳内へと繋がる経路を模索する。 脳内での関連する部位が明らかとなったら、アデノ随伴ウイルス(AAV: adeno-associated virus)により、同SNIモデルマウスの標的神経において、神経活動マーカーc-Fos 依存的な人工生物発光システム AkaBLI を用いた、中枢神経活動の可視化を行う。マウスSNIモデルにおいて、温冷刺激および機械刺激時など、痛みエピソードに特化した神経活動の非侵襲的かつ経時的な可視化を行い、標的神経の中枢性感作への関与を明らかにする。さらに、標的部位を含む脳組織を採取し、ScaleS 法にて病的疼痛に関与している神経群を細胞レベルで同定する。
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Research Products
(2 results)