2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of maxillofacial risk factors for restricted mouth opening under General Anesthesia and development of oral appliances for prevention of mouth opening restriction.
Project/Area Number |
22K16618
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山村 彩 (池田彩) 昭和大学, 医学部, 講師 (00645517)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 全身麻酔 / 開口障害 / 顎関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は全身麻酔導入後の開口量減少と頸椎位による開口量変化、全身麻酔導入後の開口制限を予測する解剖学的特徴を示す侵襲のない指標について検討した。 当院倫理委員会の承認を得た後に術前開口障害合併症例等を除外し、研究の同意を得た68症例を対象とした。術前評価項目は覚醒開口量、頸椎中間位と後屈位の頤隆起移動距離、頤甲状軟骨間距離、Submandible Angle、顎関節症の有無、上口唇咬合テストとした。全身麻酔導入後に、開口量に影響する鎮静度や筋弛緩状態の影響を排除した条件下で、下顎挙上併用指交差法により頸椎中間位と後屈位の開口量と後屈角度を計測した。 覚醒開口量は48.5±6.6㎜、全身麻酔導入後に深い筋弛緩状態と十分な麻酔深度で計測した中間位開口量35.7±7.2㎜、後屈位開口量40.1±7.8 ㎜であった。全身麻酔導入後に中間位で開口量が減少した(p<0.001)が、後屈位で開口量が改善した(p<0.001)。3群の比較には対応のあるt検定を使用しBonferroni法で補正した。開口量減少率について重回帰分析を用いたが、今回注目した術前評価項目では麻酔導入後の開口量変化に寄与する因子は特定できなかった。 全身麻酔導入後に開口量が減少し後屈位で改善した。開口障害には下顎形態や可動性が寄与すると予測したが、今回の術前評価項目では開口量変化の予測は不可能であった。頸椎後屈により顎関節滑走運動が容易になり開口量が改善するが、今回注目した術前評価項目は全身麻酔下での滑走予測には適切ではない可能性がある。開口は顎関節の三次元的な運動であり、二次元的な計測ではその予測が困難であることが示唆された。 以上の結果を2023年日本麻酔科学会(2023.6)での発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度、次年度に予定していたデータの採取は想定より早く終了したが、最終年度に予定されている、開口制限を来しうる患者の開口制限を予防しうるデバイスを作成するための、開口障害を最も強く予測しうる因子の特定が2022年度に採取したデータではできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに計測した術前気道評価項目はすべて距離や角度を計測する二次元的な項目になる。開口制限の発生する原因として、顎関節の可動域について注目しているが、顎関節は回転と滑走による三次元的な動きをするため、術前気道評価も三次元的に行う必要がある。顎関節を動画で撮影し解析するモーションキャブチャーシステムを導入し解析を行う予定である。まず2023年度は成人ボランティアを対象に開口時の顎関節運動の計測から開始し、開口時の顎運動解析システムを確立する。その後全身麻酔が予定される患者を対象とした研究を行う。
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Causes of Carryover |
顎運動解析システム購入の為、2023年度の予算から前倒し請求を行い購入した。解析システムに必要な年間サポート料が予算をオーバーしていたため、2023年度前倒し請求後の予算では年間サポートを購入できない。2024年度の予算と合算し、年間サポートを購入予定。
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