2023 Fiscal Year Research-status Report
メタンフェタミン中毒に対するデクスメデトミジンの効果と作用機序の解明
Project/Area Number |
22K16643
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岡田 剛史 自治医科大学, 医学部, 講師 (20742844)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | methamphetamine / dexmedetomidine / hyperthermia / hyperactivity |
Outline of Annual Research Achievements |
メタンフェタミン(METH)中毒に対するデクスメデトミジン(DEX)の効果の評価を行うため、腹腔内と頚部皮下の双方に埋め込み型振動数・体温計測装置であるnano tagを埋め込み、実験を行った。 METHは過去の研究に倣い5 mg/kg体重とし生理食塩水(NS)を投与する群も設定し、DEXは0.1 mg/ml, 0.5 mg/mlを先行投与した。よって、NS-METH 5mg/BW, DEX 0.1mg/BW-METH 5mg/BW, DEX 0.5mg/BW-METH 5mg/BW, DEX 0.1mg/BW-NS, DEX 0.5mg/BW-NSの5群の実験を行っている。結果として、頚部皮下において、METH投与によりNS先行投与群では38.9℃まで急激な体温上昇を認めたが、DEX 0.1 mg/ml投与群では37.5℃、DEX 0.5mg/ml投与群では体温上昇を認めず、いずれも有意に高体温を抑制した。また、DEX単独投与群では0.5mg/ml投与では体温は31.1 ℃まで低下した。さらに、すべての群において頚部皮下と腹腔内の体温について比較したところ、いずれにおいても差は認めず、体温の変化が末梢血管の収縮・拡張によるものでは無いことが示唆された。さらに、特殊な状況下以外ではnano tagが腹腔、皮下いずれの計測にも問題なく使用できることが確認できた。 METH 単独投与群では投与後120分時点での振動数は3380 回/15分と著しい多動を呈したが、DEX 0.5投与群では1460 回/15分と振動数の抑制がみられた一方、DEX 0.1投与群では有意な抑制は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験において、nano tagを皮下で使用することで高体温を過小評価するという疑念が生じたため、腹腔内で使用する実験を追加することとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
α2A受容体作動薬であるGuanfacine、選択的α2B受容体作動薬である(-)-Dibromophakellin、選択的α2C受容体作動薬である(R)-(+)-m-Nitrobiphenyline oxalateを用いて同様の実験を行い、dexmedetomidineの高体温及び運動量増加がどのような機序によるものかを明らかにする。 また、脳内微小透析法(現在半分程度の進捗である)によりMETHおよびDEXの前視床下部における脳内モノアミンへの影響を評価する。
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Causes of Carryover |
研究の若干の遅延により、残額が生じた。 薬剤購入費で全額を支出する見込みである。
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