2022 Fiscal Year Research-status Report
難治性髄膜腫に対するSSTR2aを標的とした近赤外光線免疫療法の開発
Project/Area Number |
22K16652
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小倉 良介 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70626423)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 髄膜腫 / 近赤外光線免疫療法 / ソマトスタチン受容体サブタイプ2a / 難治性髄膜腫 / 悪性髄膜腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
髄膜腫の多くは、手術で全摘出できれば根治を見込めるが、発生部位によっては全摘出できないことや、摘出により重篤な合併症を招くことがある。また、急速増大や、再発を繰り返す予後不良な悪性髄膜腫が10%程度存在する。このような摘出困難髄膜腫に対する効果的な治療はなく、新規治療の開発が喫緊の課題である。髄膜腫の組織型や悪性度に関わらず70%以上で強発現しているソマトスタチン受容体サブタイプ2a (SSTR2a)に着目し、当教室でこれまで研究をすすめてきた表面抗原をターゲットとした近赤外光線免疫療法 (NIR-PIT)の応用を考えた。NIR-PITは、近赤外光照射により抗体が結合した細胞を破裂させる直接効果と、破裂した細胞に対する免疫応答による間接効果が示されている。本研究では、直接効果の有効性と安全性を証明し、最終的には摘出困難な髄膜腫に対する新規治療として、臨床応用を目指している。2022年度は、摘出検体から髄膜腫細胞株の樹立を行い、培養髄膜腫細胞に対するSSTR2aを標的としたNIR-PITの直接効果を検証した。2023年度も髄膜腫細胞株の樹立を継続して行い、適切な照射強度や標的タンパクの発現量と治療効果の関係を明らかにする。さらには、オルガノイドモデルの作成およびオルガノイドモデルを用いた検証も行う予定である。また、複数の培養株およびオルガノイドモデルでの直接効果が明らかになってきている段階であり、研究会や学会での発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
髄膜腫の摘出検体から細胞株樹立を行い、4症例の継代可能な培養株を作成した。本研究に必要なNIR-PIRの直接効果を検証することや、治療前後のタンパクを回収し、発現蛋白の解析を行うことが可能である。ただし、不死化はしていないため、6から7回の継代を行うと細胞増殖率および生存率が著しく低下してしまう問題点がある。これまでの実験で、IR700-SSTR2複合体が反応する細胞株は、IR-700の発現程度に比例して直接効果がみられることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画ではモデルマウスを用いた研究を予定していたが、動物実験で有効性を検証するために必要な抗体量は、当初予定していたよりも多く必要で、物価高騰の影響もあり、本研究課題で申請した研究費では不足することがわかった。モデルマウスの代用として、オルガノイドモデルを用いての治療効果検証研究をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
物価の高騰(特に抗体費)に伴い、当該年度に予定していた研究予算を超えてしまった。
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