2023 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞の新規治療に向けたレドックスナノ粒子のドラッグデリバリーと作用機序解明
Project/Area Number |
22K16668
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 亮太郎 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10552309)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脳虚血再灌流障害 / 頭蓋内主幹動脈閉塞 / 活性酸素種 / レドックスナノ粒子 / 2光子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋内主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対する急性期再開通療法は、rt-PA静注療法による血栓溶解療法に加えて脳梗塞の有用な治療方法として確立されている。しかし有効な再開通を得られても予後の改善につながらない症例も存在する。その一因として活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)による脳虚血再灌流障害が知られている。再灌流障害モデルへのレドックスナノ粒子(RNP: radical containing nanoparticles)投与の有用性が報告されている。新規フリーラジカルスカベンジャーであるRNPの脳虚血再灌流障害への有用性、またRNPが神経細胞の細胞質に分布することはすでに明らかになっており、本研究では2光子顕微鏡を用いてRNPの生体内での分布を動的に観察し評価を行うことを目的とした。全身麻酔下にマウスの総頚動脈を露出、総頸動脈より血管塞栓用のモノフィラ メントを挿入し一過性(1時間)に中大脳動脈閉塞を行い、その後に再灌流させ一過性中大脳動脈閉塞モデルのマウスの作成を行った。昨年同様にモデル作成の練習を継続し安定してモデル作成を行うことができた。モデル作成後24時間の生存率は約50%であり、麻痺等脳梗塞症状の確認、脳標本の染色(クレシルバイオレット染色)での脳梗塞巣確認、エバンスブルー投与による脳梗塞確認も可能となりモデル作成が可能になった。また2光顕微鏡による観察のためマウスに対してイメージング用頭蓋窓の作成も安定して可能となり、実際に2光子顕微鏡での観察も開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一過性中大脳動脈閉塞モデルのマウスの作成と2光顕微鏡による観察のためマウスに対してイメージング用頭蓋窓の作成の練習のために想定以上の時間を要している。今後も安定した一過性中大脳動脈閉塞モデル作成、イメージング用頭蓋窓の作成のための練習が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後実験を進めるに際して2光子顕微鏡の操作、観察が重要となるが操作、観察ともに複雑でありさらに練習が必要となる。神経細胞の可視化のためアデノ随伴ウイルスベクター(pAAV-syn-GFP)を用いて神経細胞にGFP発現させたマウスの作成を行う予定である。神経細胞の可視化により、RNPはローダミンで標識されているため2光子顕微鏡での観察が可能となる。観察により経動脈的投与後のRNPがどのように血管内から周囲の神経細胞等に分布するか明らかにする。今後RNPの臨床応用、実用化に向け重要な研究であると考えられる。
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Causes of Carryover |
一過性中大脳動脈閉塞モデルのマウスの作成と2光顕微鏡による観察のためマウスに対してイメージング用頭蓋窓の作成の練習のために想定以上の時間を要しているためしようマウス数が少なくなっており、またウイルスベクターの購入、ウイルスベクターを使用した実験の実施に至っていない。 次年度はさらに一過性中大脳動脈閉塞モデルのマウスの作成と2光顕微鏡による観察のためマウスに対してイメージング用頭蓋窓の作成の練習を行う予定でありマウスの購入が必要となる。またウイルスベクターを購入し神経細胞の可視化の実験も行っていく予定である。
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