2022 Fiscal Year Research-status Report
頭部外傷後免疫応答が関与する慢性外傷性脳症の病態解明と予防法開発に向けた基盤研究
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22K16674
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早水 真理子 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (40933742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 炎症反応 / サイトカイン / CyTOF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で用いる頭部外傷(TBI)モデルの確立を行った。当研究室保有の頭部外傷作成機器(夏目製作所作成)でロッドを高さ3.0㎝から落下させることによりマウスは高率に死亡するが、2.5㎝では死亡せず、麻酔からの覚醒後はやや興奮状態となることを確認し、そのような意識変容を伴わない2.0㎝からのロッド落下による頭部外傷を本研究で採用することとした。次いで予備実験として頭部外傷により特異な免疫応答が全身性に生じることを、血清学的、病理学的に評価した。 頭部外傷後に感染症を誘導すると、sham損傷後の感染と比してTBI群では、IL-6、TNFalpha、IL-17に代表される炎症性サイトカインが有意に高値である一方、IL-4、IL-10などの抗炎症性サイトカインは両群間に有意な差は認められなかった。また、TBI群ではT細胞非依存性INF gamma誘導に重要な役割を果たすIL-12P70が高値であり、実際にINF gammaの高値も確認された。病理学的評価では、脾臓内のマクロファージがTBI後敗血症で著明に増加していた。また、sham損傷後敗血症で生じていた肝の類洞拡張および肺毛細血管のうっ血はTBI後敗血症では確認されなかった。これらの結果はTBI後敗血症でのより強い免疫活性化が感染症を抑制し肝、肺の臓器障害軽減につながったと推察される。 また本研究の中心的役割を果たすCyTOF実験系の確立に向け、別研究検体を用いての、①CyTOF用検体処理工程の確立、②CyTOF測定、③CyTOF解析を行った。想定していた工程で①から③まで可能であったことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行の波が複数回訪れたことで臨床のエフォートが増え予備実験の完了にとどまっており進捗はやや遅れている。また脳組織のCyTOF実施工程の検証ができていない。 一方で、外傷モデルの確立や本研究の中心をなすCyTOFの一般的な実施工程に関しては共同研究先の米国ボストンからの抗体輸入、検体の輸送、染色、測定など確立しているため大きな懸念はなく実験遂行に向けて準備は整っている。COVID-19も終息の向きがあり挽回は可能と捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述した頭部外傷作成手法を用いてマウスに1日1回×7を受傷させ6か月後にCTEモデルとして病態評価を行う。 脳組織のCyTOFプロトコールは当研究室の同僚がかつて所属していた米国ハーバード大学Lederer研究室で使用しているものを参考とし実施する。CyTOF用抗体は同研究室から輸入し、染色したサンプルを聖路加エスアールエル先端医療研究センターに送付し測定を依頼する。測定結果はクラウドデータベースOMIQにアップロードし多次元解析を行う。サイトカインの網羅的解析はLUMINEXを用いるが本学では機器を有していないため研究分担者が所属する大阪医科薬科大学に測定を依頼する。これらの免疫学的最先端ツールを用いた網羅的解析によりCTEの治療標的となり得る分子の同定を目指したい。
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Causes of Carryover |
研究の進行がやや遅れており、高額な抗体を用いるCyTOFなどが実施できなかったため、翌年に予算を繰り越し使用する予定とした。
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