2023 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経原発悪性リンパ腫の患者由来モデルを用いた腫瘍微小環境と標的因子の探索
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22K16693
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三宅 勇平 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80837302)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中枢神経原発悪性リンパ腫 / 患者由来細胞株 / NF-kB / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma, PCNSL)は、中枢神経系(脳・脊髄・網膜)に限局した悪性リンパ腫である。これまでの研究からNF-kB経路が腫瘍の発生、増殖に重要であることが報告されているが、その詳細な機序は未だ解明されていない。申請者らは、現在までに世界最多の PCNSL脳腫瘍モデルの樹立に成功しており、中枢神経内への浸潤を経時的に観察することに成功している(Tateishi, Miyake, et al. Cancer Res. 2020)。本研究は、これらのモデルを駆使して、PCNSLの発生機序について分子生物学的機序の解明を図るとともに、腫瘍形成制御につながる創薬化を目指すものである。 当院でCNSLと診断した41例に対し、患者由来細胞株の樹立を行った。この中で31例に全エキソン解析を行った。結果、遺伝子解析において、NF-kB経路関連遺伝子であるMYD88変異は64%、CD79B変異は52%(うち81%がMYD88との共変異)に認められた。変異がない例では、NFKBIZ変異などNF-κB関連遺伝子異常を全例に認めた。この背景に基づき、NF-kB経路を標的をした薬物をin vitroにて検証したところ、NF-kB経路の下流の抑制にて、著名な効果を示した。一方でin vivoではマウスの生存期間の延長を認めず、薬物の脳への到達性の問題や、周囲微小環境による影響が示唆された。そこで使用してる免疫不全マウスで存在しているMicrogliaをノックダウンして、腫瘍形成能を比較したが、大きな変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論に基づきNF-kB経路を標的としてin vitroでは著名な効果を示した一方で、in vivoでの証明に難航している。また標的となる微小環境の同定に関しても更なる解析が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoにおけるNF-kB阻害薬の薬物動態、周囲微小環境の変化の解析が必要と考えている。そのために薬物のラベリングや、脳への直接投与などの解析を考えている。アストロサイトやマイクログリアの染色を計画している。
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Causes of Carryover |
in vivoの結果が予想と異なり、次の実験に進んでいないため使用額に余剰が生じた。次年度は、発現解析のためのシーケンス代やマウスの購入等に使用する予定である。
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