2022 Fiscal Year Research-status Report
Innovative Treatment of Fractures with Muse Cell Administration
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22K16705
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡邉 翔太郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40889408)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨折 / 偽関節 / 細胞移植 / 再生医療 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、骨折に対するMuse細胞投与の有効性を評価することである。 骨折は若者から高齢者まで幅広く罹患する疾患であり罹患数も非常に多い。とくに高齢者では軽微な外傷により骨折を起こすことも多く、転倒による脊椎骨折や大腿骨骨折は大きな日常生活動作の低下につながるため大きな社会問題となっている。これは、骨折後の骨癒合には時間を要すため筋力低下や関節拘縮を引き起こし社会復帰が困難になるリスクが高いからである。骨癒合期間を短縮することができれば、そのリスクを低減させる事ができる。間葉系幹細胞(MSC)の中に1-5%の割合で存在するMuse (Multi-lineage differentiating Stress Enduring) 細胞と呼ばれる細胞集団は、様々な細胞へ分化できる多能性を持ち、損傷部位への自己遊走能を有し、さらに損傷部位で直接損傷修復に寄与するという特徴が報告される。しかし、これまでに骨折に対する効果は明らかにされていない。本研究はマウス骨折モデルにMuse細胞を投与し、その細胞動態を追跡し、さらに骨癒合、細胞分化評価直接的な修復寄与機構の解明を目的とし実施している。 重症複合免疫不全症マウス(C.B-17/Icr-scid/scid Jcl、以下SCIDマウス)の大腿骨骨折モデルを作製し、自然には骨癒合が得られず偽関節となる骨折形態と固定方法を検証した。また、Muse細胞の抽出を行い、生体外の実験シャーレ培養下の骨分化能の評価を開始している。SCIDマウスの大腿骨偽関節モデルが確立でき次第Muse細胞を投与し、コントロールと比較していく予定であるが現時点ではまだ行えていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの偽骨折モデルの作製に関して、再現性の得られる骨折作製、骨折固定のハードルが予想以上に高く、解決に難渋した。当初予定していた大腿骨髄内にワイヤーを通して固定する方法では骨折型のばらつきや骨癒合率の再現性が得られなかったため、骨折作製と固定に対する十分な条件検討を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記ハードルに対する条件検討はすでに進めてきたため概ね確立できており、モデルに対する細胞投与を開始し、CTによる骨癒合評価と組織学的解析を進める予定である。また、同時に生体外の実験シャーレ培養下におけるMuse細胞の骨分化能評価も引き続きデータを集めていく予定である。
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Causes of Carryover |
前述のごとく実験の条件検討に難渋しやや遅れが生じたため、計画と比べ使用額が減った。しかし計画の遅れを取り戻すために 令和5年度はより多くの実験を進める予定であり、この次年度使用額は有効に使用できるものと考える。
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