2022 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部腫瘍における血液検体を用いた分子マーカーの開発
Project/Area Number |
22K16721
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長谷川 延彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70909192)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / cell free RNA / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在まで確立されていない「骨軟部腫瘍におけるリキッドバイオプシー」について腫瘍組織診断と同等、またはそれ以上の精度で血液検体での適切な分子腫瘍マーカーを用いた解析法を開発し、迅速な骨軟部腫瘍の診断、早期に適切な治療選択を行うことで、骨軟部腫瘍の予後改善を目的としている。骨軟部腫瘍(肉腫)は、約30%で腫瘍特異的融合遺伝子が含まれる点が特徴である。骨軟部腫瘍関連融合遺伝子は、現行の保険収載での、cell free DNA(cfDNA)解析に含まれておらず、またDNAベースの融合遺伝子解析は、煩雑で同定率も十分ではない。この問題の解決に向けて、血漿中のcell-free RNA (cfRNA)を用いて、肉腫における融合遺伝子同定プロトコール構築、臨床的有用性を検討する。本年度は、2021年に報告した非小細胞肺癌のcfRNAを用いた融合遺伝子解析プロトコールをベースに、微量のRNAから効率の良いcDNA合成、肉腫融合遺伝子オリジナルプライマーを使用したPCR増幅、シークエンス解析を行った。治療前のユーイング肉腫4症例のうち3症例で、腫瘍組織とブレークポイントを同一とするEWSR1-FLI1融合遺伝子を同定できた。また、治療前の粘液型脂肪肉腫においてもFUS-DDIT3融合遺伝子を同定することができた。ユーイング肉腫、粘液型脂肪肉腫に対して低侵襲での診断の可能性を見出し、cfRNA解析に適した肉腫が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肉腫のオリジナルプライマーを作成し、cfRNAの解析プロトコール手法に基づいて臨床検体を用いて検証を行なった。治療前の臨床検体(ユーイング肉腫、粘液型脂肪肉腫)より同定しており、現在までの進捗状況としては、当初の予定通りと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーイング肉腫、粘液型脂肪肉腫に対して低侵襲での血液検体からの診断の可能性を見出した。本年度に解析を行った症例に対して、治療タイミングに応じて再度採血を行い、治療効果との相関性を確認する。また、滑膜肉腫などのその他の融合遺伝子関連肉腫に対しても検証を行い、骨軟部腫瘍におけるリキッドバイオプシーの臨床的有用性を検討する。
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Causes of Carryover |
血漿核酸抽出に使用する試薬代に主に研究費を使用した。cDNA合成、シークエンス解析に関わる試薬については、既存のものを使用したこともあり、当初の予定よりも予算を抑えて解析することが可能であった。使用しなかった今年度分の予算については、次年度以降の核酸抽出、cDNA合成、PCR、リアルタイムPCR、シークエンス解析に関わる消耗品に使用する予定である
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Ewing肉腫における血漿中のcell-free RNAを用いた高感度融合遺伝子解析2022
Author(s)
長谷川 延彦, 高阪 真路, 岩田 慎太郎, 川井 章, 齋藤 剛, 佐々 恵太, 窪田 大介, 末原 義之, 高木 辰哉, 間野 博行, 石島 旨章
Organizer
第95回日本整形外科学会学術総会
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[Presentation] 遺伝子プロファイリングを目指したGhost Cytometryによるcirculating tumor cell分取実験2022
Author(s)
長谷川 延彦, 伊田 英恵, 河村 踊子, 上野 敏秀, 小山 隆文, 米盛 勧, 大江 裕一郎, 山本 昇, 太田 禎生, 間野 博行, 高阪 真路
Organizer
第81回日本癌学会学術総会