2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the neural circuit of neuroendocrine response due to acute and chronic pain based on synaptic plasticity
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22K16727
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
藤谷 晃亮 産業医科大学, 医学部, 助教 (70804714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オキシトシン / トランスジェニックラット / 慢性疼痛 / 線維筋痛症 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度よりオキシトシン(OXT)ニューロンを可視化したOXT-単量体赤色蛍光タンパク1(mRFP1)トランスジェニック(Tg)ラットを用いた線維筋痛症(FM)モデルを作成して電気生理学的検討を行っている。令和5年度では、引き続き同モデルを作成し、ホールセルパッチクランプ法を用いてOXTニューロンの電気生理学的検討を行なった。ホールセルパッチクランプ法ではシナプス後電流(PSCs)を記録することでシナプス伝達を解析することが可能である。PSCsには興奮性シナプス後電流(EPSCs)と抑制性シナプス後電流(IPSCs)があり、解析にはそれぞれのシナプス後電流の頻度と振幅を用いる。原則的には、頻度の変化はシナプス入力への影響、つまりシナプス前の神経伝達物質放出への影響を反映しており、振幅の変化はシナプス後膜おける受容体感受性への影響を反映する。OXTニューロンへのシナプス伝達を検討するためControlとFMモデルの両群の自発的(s)EPSCsを検討し、 単一シナプスのみ評価を行う微小(m)EPSCsを検討した。sEPSCsとmEPSCsともに、振幅は両群間に有意差を認めなかったが頻度についてはFMモデルで有意に低下していた。同様に、OXTニューロンへの抑制性シナプス伝達を検討するため両群のmIPSCsを検討した。mIPSCsについては、振幅と頻度ともに両群間で有意差を認めなかった。 本年度の結果からは、シナプス前における興奮性神経伝達物質の放出が抑制されていることが明らかになった。その理由については今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、急性疼痛モデルを作成し電気生理学的検討を行う予定であった。しかし、令和4年度の実験の遅れとラット繁殖の遅れから全体のスケジュールの遅延が生じている。そのため、急性疼痛モデルの実験は行なわず、慢性疼痛モデルの実験を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、長期増強(Long-term potentiation; LTP)を検討する。慢性的な疼痛刺激に伴う中枢神経系おける疼痛制御システムの可塑性変化は長期増強(Long-term potentiation; LTP)が関与するとされる。記録するシナプス前に刺激電極を置いて電極を通して神経細胞に刺激することで、LTPを誘発させ記録する。また、チャンバーへAVPおよびOXTを還流させ、誘発性シナプス後電流の変化を記録することにより、OXTニューロンへのLTPに及ぼす影響を解明する。
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Causes of Carryover |
実験が進まず、試薬の購入もできなかったため、来年度で試薬等購入予定である。
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