2023 Fiscal Year Research-status Report
三次元動作解析と深層学習を用いた歩行解析に基づいた高齢者の腰痛症の病態解明
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22K16733
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三浦 紘世 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40818051)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性腰痛 / 三次元動作解析 / 歩行解析 / 筋電図解析 / 成人脊柱変形 / 腰部脊柱管狭窄症 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腰痛患者の歩行動作評価は、臨床的に有用な情報が得られる。歩行動作解析をより一般的に行えるように、歩行動画に深層学習を用いた評価を試みている。 深層学習の診断精度向上のために、三次元歩行動作解析の診断ラベリングを、より確かにする必要があるため、脊椎骨盤アライメントの異常を有し慢性腰痛による歩行障害の要因をきたす成人脊柱変形ASD患者と、アライメント異常を伴わず下肢痛による歩行障害をきたす腰部脊柱管狭窄症LSS患者の2群について三次元歩行動作解析を行い、前向きに比較検討した。 ASD、LSS両群とも13例ずつを対象として、単純X線による脊椎骨盤アライメント、VICON NEXUSを用いた連続歩行による脊椎骨盤バランスの変化、無線表面筋電計を用い測定したintegrated electromyography(iEMG)による体幹の筋活動を評価した。歩行負荷は継続困難となるまで平地を連続歩行とした。脊椎骨盤バランスと筋活動について歩行開始直後と終了直前での変化を2群間で比較した。 結果、両群とも連続歩行後に矢状面バランスの前傾は有意に増加したが、ASD患者では骨盤に対して脊椎が前傾したが、LSS患者では骨盤のみが前傾した。2群間の比較では歩行開始直後と終了直前での変化量に有意差はなかった。筋活動についてASD患者は歩行により腰部傍脊柱起立筋の筋活動が有意に低下し、LSS群では連続歩行後に僧帽筋と大殿筋の筋活動が有意に上昇した。2群間の比較で、腰部傍脊柱起立筋の変化量が異なった。 三次元動作解析と筋電図解析を用いた歩行動作解析により成人脊柱変形と腰部脊柱管狭窄症の歩行バランス変化の特徴が明らかになった。どちらも腰部の疾患で歩行障害をきたし鑑別に難渋する症例も少なくない。この違いを歩行動画の診断ラベリングに活かして深層学習による診断サポートの精度向上に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
深層学習による病態診断サポートの精度向上のために、三次元動作解析と筋電図解析を用いた歩行解析により病態ごとの歩行姿勢の特徴を検出し、診断ラベリングの精度向上を試みた。前向きに比較検討を開始したことから、症例数はまだ十分とは言えないが、現時点で統計学的有意な差があり、それぞれの病態の歩行姿勢の特徴が明らかとなった。これらの特徴を活かした診断ラベリングによる深層学習の診断サポートとしての精度向上に繋げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った歩行解析をさらに症例を蓄積して病態ごとの歩行姿勢の特徴の違いを明らかにして、歩行動画からの病態診断のラベリングを確かにしていく。それにより、深層学習を用いた慢性腰痛患者の病態を歩行姿勢から推定するプログラムの、一般臨床での応用を目標に、診断サポートとしての精度向上に努める。最終的には、医師が実臨床で動画を用いて判定できるようなGraphical User Interfaceの構築を目標とする。
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Causes of Carryover |
旅費で予定していた国際学会での学会発表がRejectされ申請より支出が抑制された。今年度は、国際学会での情報収集や成果報告に用いる予定である。円安もあり、以前に比べて必要旅費が増加するため、次年度使用分を有効に使用させていただきたい。
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