2022 Fiscal Year Research-status Report
解糖系阻害剤は関節滑膜炎の抑制、関節軟骨保護のための新規治療薬となり得るか?
Project/Area Number |
22K16739
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大橋 禎史 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90877044)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 滑膜炎の抑制 / 軟骨保護作用 / 嫌気性解糖系阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、滑膜炎動物モデルを用いたin vivo実験系を遂行し、嫌気性解糖系阻害剤による滑膜炎、それに続発する二次性の変形性関節症の予防、治療効果を明らかにし、新規治療薬を開発することである。当該年度は予備的な小規模研究を中心に遂行した。 まずはSKGマウスの関節炎発症手技について検討した。SKGマウスにマンナン、またはラミナリンを腹腔内投与し、関節炎が問題なく発症することを確認した。 次に関節炎マウスから得られた関節軟骨をX線学的検査、組織学的検討により、軟骨障害の形態学的、組織学的変化を確認した。両手関節~手指(手部)、膝関節、足関節~足趾(足部)、尾部を評価に用いた結果、関節炎マウスの手部、足部、尾部に関節破壊所見を認めた。膝関節の破壊所見は乏しく、形態的変化を評価困難であると判断した。 滑膜細胞の採取はマウスのサイズが小さく、正確に採取を行うことが困難であった。そのため、足部を液体窒素により凍結粉砕し、mRNA、タンパクを回収して、滑膜炎遺伝子、解糖系遺伝子の解析を行ったが、安定した実験を行うことはできなかった。皮膚や毛などの不純物が多く含まれてしまったことが原因と考えられた。今後は関節(関節軟骨、軟骨仮骨、関節包、滑膜)のみの状態にして同様の手技を行い、コントロール群と比較した相対的変化にて評価する予定である。また、マウスの心臓血から得られた血漿を使用し、関節炎マウスにおいて滑膜炎遺伝子(MMP3, MMP13)の発現亢進、解糖系遺伝子(AMPK)の発現抑制を確認することができ、さらにELISAキットを用いて関節炎マウスにおいて炎症性サイトカインであるIL6, TNFαの亢進を確認できたのでこれらの実験系も採用する。 細胞内代謝の検討についても上記の通り、滑膜のみの採取は困難であったため、足関節から得られた細胞を用い、コントロール群と比較した相対的変化にて評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、予備的な小規模研究を行い、遂行の実現性が高い具体的な実験プランの計画が立てられた。今後は微調整を加え、本格的な研究計画を遂行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った予備的な小規模研究により得られた知見を元に本格的な研究プランを構築、遂行していく予定である。研究を遂行する上での変更点は評価関節を膝関節ではなく、手部、足部関節に変更すること、新たに血漿から得られたサンプルを利用し、タンパク定量とELISAの実験を追加することである。また、研究計画書から外れることなく改善点や追加実験があれば随時追加検討を考慮していく予定である。 研究を遂行する上での課題は滑膜細胞の採取である。マウスのサイズが小さく、正確に滑膜細胞のみの単離を行うことは困難であった。他に良い方法が無いか模索していくが、今後は検体を関節(関節軟骨、軟骨仮骨、関節包、滑膜)のみの状態にして液体窒素による凍結粉砕にて細胞、mRNA, タンパクを回収し、コントロール群と比較した相対的変化にて評価することが現実的であると考えている。
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Causes of Carryover |
R4年度は本格的な実験計画を構築するための小規模研究を遂行することに重点をおいたので動物購入や試薬購入に対する研究費の使用額を可能な限り最小限に抑えた。また、新型コロナの影響で参加学会がWeb参加となり、旅費が当初の見積よりも少なくなった。R5年度は規模を拡大し、本格的な検討を行っていくこと、新型コロナの規制が解除され、学会は基本的に現地開催されることが多くなるため、実験動物・試薬・旅費に未使用額を使用予定である。
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