2022 Fiscal Year Research-status Report
半月板損傷における多血小板フィブリンの効果とその分子学的メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K16741
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
千賀 佳幸 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70828368)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 半月板 / 多血小板フィブリン / PRF / 再生医療 / シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
多血小板フィブリン(Platelet Rich Fibrin: PRF)は現在臨床で半月板縫合時に併用されているフィブリンクロット(Fibrin clot: FC) よりも高濃度の成長因子やサイトカインを含有するフィブリン塊で、徐放性に優れるため様々な病態への治癒促進することが期待されている。我々はPRFの半月板欠損に対する直接的な評価を動物モデルで行い、さらに半月板修復に重要な役割を担う半月板細胞と滑膜幹細胞に対する影響およびシグナル経路を特定することを目的に研究を行なっている。 これまでのIn vivoの検討で、PRF投与群ではcontrol群、FC群と比較し、組織学所見・運動能が有意に改善した。また、組織中の血管数はPRF群で有意に増加した。これらの結果からPRFが半月板欠損の治癒を促進する可能性が示唆された。 In vitroの検討では、PRF群は半月板細胞/滑膜幹細胞の細胞数(MTS assay)、増殖能(Ki-67染色)、遊走能(wound closure)をcontrol群、FC群と比較して有意に増加させ、半月板細胞の細胞外マトリクス発現も有意に増加させた。また、PRF投与により半月板細胞のFGF受容体及びAktのリン酸化レベルが有意に増加し、FGF受容体阻害剤及びAkt阻害剤がPRFの増殖効果を抑制 したことから、FGF受容体/Aktシグナルが半月板細胞の増殖に重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでは、PRFが滑膜幹細胞の半月板細胞への分化能に与える影響の評価、滑膜幹細胞の増殖に関わるシグナルの特定を行う予定である。in vivo では、組織学的所見に加えて当大学工学部の協力を得て力学的特性についても検討し、半月板修復の程度をさらに詳細に評価す る。また、1型コラーゲン、2型コラーゲンなどの免疫染色も行う予定である。上記が完了次第、論文投稿を進める予定である。
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Causes of Carryover |
残額が少額で購入予定物の金額が合わなかったため。 残高は細胞培養試薬の購入に用いる予定である。
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