2022 Fiscal Year Research-status Report
ラット肩腱板断裂モデルにおける骨格筋由来幹細胞移植による腱板再生効果
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22K16751
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
今井 洸 東海大学, 医学部, 講師 (60724672)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨格筋間質由来幹細胞 / 腱板断裂 / bio-bond |
Outline of Annual Research Achievements |
腱板欠損モデル群と骨格筋間質由来幹細胞移植群の比較により、移植した幹細胞群が問 題なく腱板として組織学的,生物学的な治癒を得られることを確認する研究を開始した.GFP-TGマウスの下腿三頭筋を採取し,移植可能な幹細胞群を安定して抽出しシートペレットを作成した.また、10週齢免疫不全ラットの肩腱板断裂モデルを作成し、それらの幹細胞群シートペレットをポリグリコール酸(スキャフォールドの役目として)に染み込ませ断裂部へ移植した.対照群としては腱板断裂のみを作成した免疫不全ラットを作成した.移植後1カ月で蛍光実体顕微鏡にてGFP陽性細胞を確認した.今のところ、明らかなGFP陽性細胞の確認までは至っていない.原因として,腱板断裂モデルを完全断裂で作成したことで,移植シートペレットが安定して断裂部にとどまることができていない可能性があること,また,幹細胞群のシートペレットをポリグリコール酸に染み込ませ移植しているが,それも断裂に安定してとどまることができていない可能性がある.移植細胞シートが安定して断裂部へとどまるような工夫を以前の報告などから模索し検討している. 具体的な検討としては,完全断裂モデルでは肩甲上腕関節や滑液包などの腱板を取り囲む空間が大きいことや関節という可動性の大きな組織であることから移植細胞の不安定化に寄与していると考え,不全断裂モデルの作成や移植シートペレットを覆うような処置(滑膜縫合など)を考えている.移植細胞群の安定化が獲得できれば,同部位への腱・軟骨細胞マーカーを用いた幹細胞群の分化や機能的評価を行うことができると考えている. 並行して,対照群のサンプリングや凍結切片の作成を行っており,腱骨移行部評価を今後スムーズに行えるように準備をしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日常業務の中で本研究に対する,effort割合が予定より低くなってしまったことが進捗状況の遅れにつながっていると考える. また,本研究の主旨として,移植した幹細胞群が問題なく腱板として組織学的,生物学的な治癒を得られることを確認することが挙げられる.その第一歩として移植細胞の生着評価が重要と考えているが,その結果を得るまでに至っていないことが原因として挙げられる.この結果を踏まえたうえで,下記研究内容も検討していく予定である. ・腱板断裂モデル非移植群と骨格筋間質由来幹細胞移植群の比較により,修復部の腱・骨の連続性が強固で,早期に治癒するか明らかにする. 長期観察により,骨格筋間質由来幹細胞移植群において修復腱板の再断裂を予防するか否かを確認する. ・欠損を伴う腱板広範囲断裂モデルに対して,scaffoldおよび骨格筋間質由来幹細胞を移植し,腱板修復不可能な断裂に対しても,代替可能な強度を保ち腱・骨の連続性を得られることを確認する.
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Strategy for Future Research Activity |
完全断裂モデルでは肩甲上腕関節や滑液包などの腱板を取り囲む空間が大きいことや関節という可動性の大きな組織であることから移植細胞の不安定化に寄与していると考え,不全断裂モデルの作成や移植シートペレットを覆うような処置(滑膜縫合など)を考えている.移植細胞群の安定化が獲得できれば,同部位への腱・軟骨細胞マーカーを用いた幹細胞群の分化や機能的評価を行うことができると考えている. 並行して,対照群のサンプリングや凍結切片の作成を行っており,腱骨移行部評価を今後スムーズに行えるように準備をしている.また,凍結切片の免疫組織化学染色などの評価や運動機能,腱組織強度試験などが行えるような環境調整・確認を行い準備をしている.
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Causes of Carryover |
研究進行状況でも記載したが,予定研究内容からやや遅れている.その原因として,日常業務における本研究のeffort割合が低かったため,実験自体が予定したほど行えなかったため,次年度使用額が生じた. 本年度は本研究へのeffort割合を増やし進めていく予定である.
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