2022 Fiscal Year Research-status Report
核酸・蛋白情報とイムノグラムを併用した軟部肉腫浸潤性の病態解明
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22K16762
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
船内 雄生 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (00830019)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肉腫 / 微小環境 / 免疫治療 / 浸潤性発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
肉腫の症例全280例の集積がある中で、現在までで計104例のRNA-seqを完了した。これは骨/軟部原発の複数の組織系の肉腫が混在する総数であり、そのうちから浸潤性発育を呈し得る粘液線維肉腫・未分化多形肉腫を抽出すると18例が該当した。一方でコントロールとなり得る通常型発育の軟部肉腫としては脂肪肉腫/平滑筋肉腫/滑膜肉腫/蜂巣状軟部肉腫/血管肉腫/類上皮肉腫などの組織型が該当し40例存在した。これらのRNA-seqによる全transcriptomeデータを抽出した。残念ながらNGSとMS解析はサンプル不良やコロナ禍に伴う施設間の検体・臨床情報のやり取りの困難性から、現実的には同年の実施が困難と考えられ、RNA-seqと臨床情報に基づく解析に注力をしていく方針が現実的であると考えるに至った。続いて腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)の増殖を行うと粘液線維肉腫/未分化多形肉腫では14例で、通常型軟部肉腫では34例で、TILの増殖が確認された。TILの増殖性と腫瘍の浸潤性との間に明らかな関連があるかは疑問となる結果であった。今後は全transcriptomeデータを実際の臨床情報(画像的浸潤性、病理学的浸潤性、局所再発、転移、全生存などの情報)ごとに解析し、肉腫内の臨床的形質と腫瘍内転写活性やTILを含めた微小免疫環境との関連性を解析していく。特に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やTIL増殖可能性と絡めた解析にて、どのような症例群で免疫療法の有効性がより得られそうか、臨床につながり得る新規検討を行っていく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA-seqの解析とTILの増殖性検討は完了しており、wetな手技に関しては一通り予定通り行えたと考える。今後dryな研究として解析するデータは現状十分に手にしている。一方で組織保存法に伴う解析手技の困難性に加え、一番は今般のコロナ禍に伴う人的物的可搬性の困難性から、MS解析とNGSに関しては現実的ではなく2022年度には行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、十全にデータが得られた系(RNA、TILのwetな培養を伴う免疫系、臨床情報)と現実的には検討が困難と考えられ解析が出来ていない系(DNA、蛋白)が存在している。しかしこれも研究計画時には一応念頭に置いており、注力する分野はRAN-seqを含め全omicsではないと想定し記載していた。今後はここまで得られたデータに臨床情報を統合することと、場合によってはNGSなどの解析を追加することで、さらなる解析を進めていく。すでに貴重な希少がんである肉腫に関して、十分なデータが集積されてきており、必ず臨床的に次期治療につながり得る新規科学的発見の端緒は得られるとは考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に伴う人的・物的可搬性の低下から、当初予定していた解析や機器購入、学会発表や海外研究会への参加が現実的に不能であった。
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