2023 Fiscal Year Research-status Report
核酸・蛋白情報とイムノグラムを併用した軟部肉腫浸潤性の病態解明
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22K16762
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
船内 雄生 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (00830019)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軟部肉腫 / 浸潤性 / 遺伝子 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟部肉腫のうち、特に局所で浸潤性を呈する腫瘍の予後は依然極めて不良である。また本腫瘍に対する新規の有効な治療法は現在までその萌芽も見出せていず、その研究は喫緊の臨床課題である。我々はここまで前向きに収集した浸潤性軟部肉腫を呈し得る未分化多型肉腫と粘液繊維肉腫の検体合計32例に対し、bulk-RNAシークエンスとその解析を完了した。この32例のうち画像上浸潤性を呈する16例と呈さない16例に分け、Differential expression analysisを行った。また浸潤性肉腫のうちでも臨床情報を渉猟し、予後良好群9例と予後不良群7例に分けサブグループ解析を施行した。結果、Prognostic risk scoreを作成可能な15遺伝子が同定され、同遺伝子を用いることで浸潤性肉腫の中でもさらに予後良不良の予測が可能となった。さらにこのスコアリングが他の症例群でもあてはめ可能かを検証すべく、公的に入手可能なTCGAのデータセットを用いて臨床転機と比較をしたところ、P<0.045の有意差を持ちスコアリングによる予後予測が可能と確認ができた。本邦の肉腫症例をもとに創出されたスコアリングが、世界の症例群でも一般的に当てはめ可能という事実から、広く世界に通用する予後予測因子と新規治療標的となり得る遺伝子の同定に成功した成果と考える。本成果は遺伝子名を伏せたうえで2024年のASCO(アメリカ臨床癌学会)に提出し、poster presentationとして採択されたことからも、その重要性が認知されているものと考える。今後はさらに標的遺伝子中に免疫関連遺伝子が含まれていることから、さらなる免疫応答の解析を追加していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナに伴う検体のロジ面や解析面でのやり取りの遅延から、やや遅れている部分があり論文化にはもう少しの時間を要する。しかし世界的にも広く認知されているASCOでのプレゼンテーションにも採択され、結果は出て来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ですでに世界的にも新規性の高い重要な知見が得られている。一方で同定された新規標的遺伝子中に想定通り免疫関連遺伝子が含まれていることから、今後はさらに免疫応答関連の解析を追加していく予定である。
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Causes of Carryover |
先に記載したように、本研究の成果はASCO(アメリカ臨床癌学会)でposter presentationに採択された。同学会で発表し研究者との討論を踏まえ、さらに内容の深化と追加検討課題の検討を行う。また他学会での発表も積極的に行い、最終的には英文校正などでブラッシュアップして英文で論文化する。
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