2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Novel Treatment for Knee OA Using Adipose-Derived Stem Cells Focusing on Biological Interaction with Synovial Fluid
Project/Area Number |
22K16779
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
福 淳史 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30932967)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 / 滑液 / アテロコラーゲンミクロスフェア / Knee OA / 変形性膝関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性膝関節症(Knee OA)は、加齢・肥満・外傷により骨や関節軟骨の変性が起きることで、慢性的な痛みや運動障害を引き起こす不可逆的疾患である。培養脂肪由来幹細胞の関節内投与は、放出されるエクソソームや抗炎症性サイトカインにより疼痛・炎症などの臨床症状を改善する。しかし、ADSCは関節内投与後に速やかに消失することが知られており、投与部位での長期生存が治療効果の改善に繋がることが期待される。アテロコラーゲンマイクロスフェア(AMS)は、球状の表面に細胞を付着させることで、大量の細胞培養が可能な生分解性を持つ培養器材である。AMSにADSCを付着させて投与すれば、生細胞率を維持しつつ、滑液中のコラゲナーゼによりAMSが消失し、治療効果を向上させることが期待できる。AMS付着ADSCを標準的な培養法である2次元培養ADSCと比較すると、以下のような性質を持つことが明らかとなった。細胞あたりのエクソソームの放出量と抗炎症性サイトカイン(IL-10)の分泌能は有意に増加していた。RNA-seqによりAMS付着ADSCにおいてKnee OAの治療効果に寄与する複数の遺伝子が有意に発現上昇していた。一方、関節腔内の環境を模倣するために、AMS付着ADSCをKnee OA患者由来の中で培養した結果、AMSは溶解して生きたADSCが遊離した。滑液の添加した2次元培養ADSCと比較するとAMSに付着したADSCは有意に高い細胞生存率を示した。これらの結果からAMS付着ADSCは、Knee OA治療に有利な性質を獲得しつつ、膝関節内で長く生存し、AMSそのものは関節液に含まれるコラゲナーゼにより分解消失することで、安全かつ高い治療効果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療用に調製したADSCを関節腔内で模倣した環境で培養し、Knee OA患者由来の滑液を添加した際のADSCへの影響を評価した前年度の研究成果を基盤とし、本年度ではアテロコラーゲンマイクロスフェア(AMS)を用いた新規細胞治療の開発に繋がる研究成果を得ることができた。AMS付着ADSCは2次元培養ADSCと比較して、エクソソームや抗炎症性サイトカイン(IL-10)の分泌能を向上させた。RNA-seqの結果を用いたGO解析によりAMS付着ADSCにおいて細胞外マトリックス、免疫制御および分化能に関与する遺伝子が変化していた。一方、関節腔内の環境を模倣するために、AMS付着ADSCをKnee OA患者由来の滑液中で培養した結果、AMSは溶解して生きたADSCが遊離した。滑液添加は2次元培養ADSCと比較すると、AMSに付着したADSCにおいて有意に高い細胞生存率を示した。これらの研究成果を責任著者としてオープンアクセスの英語論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、AMS付着ADSCの性質はIn vitroで評価している。次の段階として、Knee OAモデルマウスを使用し、関節腔内にAMS付着ADSCを投与する。これにより、通常の接着培養したADSC投与群と比較して、治療効果を評価し、その成果を基に臨床研究への橋渡しを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由として前年度の研究成果を基に、当初計画された予算を効率的に使用することができた。これにより、年度内に予算を使い切ることができず、次年度使用として持ち越すこととなった。次年度の使用計画として、次年度の得られた研究成果を論文としてまとめ、国際的な学術誌に投稿するための費用を計上し、また研究成果の普及活動として学会発表を行うための費用に使用する予定である。
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[Journal Article] A Novel Cell Source for Therapy of Knee Osteoarthritis Using Atelocollagen Microsphere-Adhered Adipose-Derived Stem Cells: Impact of Synovial Fluid Exposure on Cell Activity2024
Author(s)
Takuya Sakamoto,Atsushi Fuku, Tetsuhiro Horie, Hironori Kitajima,Yuka Nakamura, Ikuhiro Tanida,Hiroshi Sunami,Hiroaki Hirata,Yoshiyuki Tachi,Yasuo Iida,Sohsuke Yamada, Naoki Yamamoto,Yusuke Shimizu,Yasuhito Ishigaki,Toru Ichiseki,Ayumi Kaneuji,Satoshi Osawa,Norio Kawahara
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Journal Title
Regenerative Therapy
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access