2022 Fiscal Year Research-status Report
BCG壁成分のPGLで惹起される抗腫瘍免疫機序の解明
Project/Area Number |
22K16787
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
志賀 正宣 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (60840551)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | BCG / PGL |
Outline of Annual Research Achievements |
1.BCGの各菌体からPGLの抽出:BCG菌体毎に壁成分の組成は異なり、PGLも菌体毎に含有量が異なることが知られている。BCG Tokyo株、Connaught株の加熱死菌からそれぞれPGLを薄層クロマトグラフィーにより抽出し、菌体毎に含有量が異なることを確認した。抽出したPGLについてはそれぞれMALDI-TOF mass spectrometryにて組成の違いについて確認した。 2.PGLリポソーム製剤の作成:我々の実験室で確立しているリポソーム化の方法にてPGLリポソーム製剤を作成した。PGLリポソーム製剤の質的評価をZETASIZER Nanoで行い、表面が正に帯電し、直径が200nm以下であることを確認した。またNBDコレステロールによって蛍光標識したリポソームを作成し癌細胞への内包化されることを観察した。 3.PGLリポソーム製剤の抗腫瘍効果の検証:Connaught株から抽出したPGLリポソームの抗腫瘍効果について膀胱癌細胞株MB49のマウス皮下腫瘍モデルにて検証し、PGLリポソーム製剤の投与は腫瘍接種後、1、3、5、7日目に腫瘍接種部に投与した。PGLリポソーム製剤がコントロールリポソームと比較して腫瘍縮小効果を有する傾向を確認した。一方でPGLの投与量にて腫瘍発育を促進する結果も得られており、抗腫瘍効果を最大に発揮する投与量を検証する必要性が示唆された。また我々は以前にBCGで最も多く含まれる壁成分であるtrehalose dimycolate(TDM)がMacrophage-inducible C-type lectin(Mincle)を介したアジュバント効果で様々な癌へ抗腫瘍効果を誘導することを報告している。今回はTDMとPGL併用投与の効果についても検証したところ、併用投与によりTDMの抗腫瘍効果が減弱する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BCGの各菌体からPGLは抽出しリポソーム化については予定通り行えたものの、抗腫瘍効果については投与量を含めさらなる検証が必要であり、その免疫学的機序の解析に至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
PGLリポソームの抗腫瘍効果を最大限に発揮する投与量の検証を行う。PGLリポソームの抗腫瘍効果のメカニズムの解明についてはRNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析を行い、解析で違いが明らかとなった免疫細胞についてはフローサイトメトリーを用いて詳細な解析を行う。
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