2022 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームによる治療抵抗性膀胱癌に対する新規治療戦略と治療効果予測法の開発
Project/Area Number |
22K16792
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井口 智生 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60735364)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エクソソーム / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、臨床的に感度・特異度ともに有用な尿路上皮癌(腎盂尿管癌および膀胱癌)の腫瘍マーカーは無く、患者は放射線被曝を伴うCT検査や侵襲の大きな尿管鏡検査や膀胱鏡検査が一般的に行われている。更に画像検査や内視鏡検査で腫瘍の存在を確認するにはある程度腫瘍が大きくならないと判断できないのが現状である。一方、最近になり細胞外小胞の一つであるエクソソームが細胞間コミュニケーションの担い手として注目されている。エクソソームの中には messenger RNA(mRNA)や microRNA(miRNA)といった核酸やタンパク質などが含まれ、癌においてはその分泌が増加し癌微小環境を構築することが明らかになりつつある。そこで本研究では、エクソソーム含有核酸を用いて尿路上皮癌に対する腫瘍マーカーとなる核酸を検出することを本研究の目的とした。 2022年に腎癌においてエクソソーム中miR-1が癌細胞株に対して腫瘍抑制的な機能を有することを報告したが、膀胱癌においてもエクソソーム中miR-1により癌細胞株に対して腫瘍抑制的な機能を有することを確認した。現在、エクソソーム中miR-1を添加した細胞から抽出したRNAを用いてRNAseq解析を行っている。また、in vivo実験において、皮下に作成した膀胱癌腫瘍片に腫瘍周囲に投与したエクソソーム中miR-1が取り込まれることを確認し、尾静脈投与による効果を検証中である。一方、腫瘍マーカー探索に関しては、LincRNAの一つであるBC200がエクスソーム内において膀胱癌で発現が亢進していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記記載の通り、エクソソーム由来の核酸を用いた機能解析において尿路上皮癌に対して抗腫瘍効果を確認できた。そして、エクソソーム内のLincRNAの一つであるBC200が腫瘍マーカーの候補の一つとなる結果を見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
血液中エクソソーム由来RNAによる次世代シークエンス解析結果を現在、解析中である。このスクリーニング結果を基に、既に保有している 100以上の尿路上皮癌患者由来の血液検体を用いて、BC200も含めて候補核酸の中から最終候補を5つ程度に絞り込む予定である。
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Research Products
(2 results)