2023 Fiscal Year Annual Research Report
エクソソームによる治療抵抗性膀胱癌に対する新規治療戦略と治療効果予測法の開発
Project/Area Number |
22K16792
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井口 智生 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60735364)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、臨床的に感度・特異度ともに有用な尿路上皮癌(腎盂尿管癌および膀胱癌)の腫瘍マーカーは無く、患者は放射線被曝を伴うCT検査や侵襲の大きな尿管鏡検査や膀胱鏡検査が一般的に行われている。更に画像検査や内視鏡検査で腫瘍の存在を確認するにはある程度腫瘍が大きくならないと判断できないのが現状である。一方、最近になり細胞外小胞の一つであるエクソソームが細胞間コミュニケーションの担い手として注目されている。エクソソームの中には messenger RNA(mRNA)や microRNA(miRNA)といった核酸やタンパク質などが含まれ、癌においてはその分泌が増加し癌微小環境を構築することが明らかになりつつある。そこで本研究では、エクソソーム含有核酸を用いて尿路上皮癌に対する腫瘍マーカーとなる核酸を検出することを本研究の目的とした。 本研究の成果としては、患者由来の膀胱尿路上皮癌(exo1、n=3)、膀胱癌CIS(exo2、n=3)、腎盂尿管尿路上皮癌(exo3、n=3)の血清エクソソーム中RNAを用いてRNAシークエンス解析を行い、正常検体と比較して尿路上皮癌ではエクソソームに含まれる核酸のパターンが大きく異なることを確認した。次に、候補となる核酸の中からLncRNAの一つであるBC200を選び、血清エクソソーム中RNAの発現を調査したところ、尿路上皮癌患者では健常対照と比較して有意に発現が増加していた。さらに、BC200をノックダウンすると、in vitroおよびin vivoで抗腫瘍効果が示された。また、手術後の発現を調査したところ、候補核酸の発現が低下した症例(実線、n=6)は再発を認めなかったのに対し、発現が低下しなかった症例(点線、n=1)は後に転移を認めました。これらの結果をまとめて、現在、論文投稿中である。
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