2023 Fiscal Year Annual Research Report
次世代免疫チェックポイント分子の生物学的背景の理解と腫瘍免疫微小環境への影響
Project/Area Number |
22K16794
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高松 公晴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 非常勤講師 (00649874)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 腫瘍免疫微小環境 / 薬物療法 / 免疫チェックポイント分子 / LAG-3 / TLS |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は泌尿器科癌における癌免疫微小環境の評価を行った。LAG-3高発現腎細胞癌は予後不良であるのに対して、TIGIT高発現腎癌は予後が比較的良好であることが判明した。その背景にある分子遺伝学的特徴を探索的に評価した。その結果、LAG-3高発現群とTIGIT高発現群ではともに疲弊化したTさいぼう環境を有する点は共通していた。しかしながら、マクロファージ環境には大きな違いを認めた。即ち、LAG-3高発現腎癌は抑制的なマクロファージ環境を認めた。現在抗TIGIT抗体は、PD-1/PDL-1抗体と併用することにより臨床試験が行われている。そこで、TIGIT高発現が免疫微小環境の特徴が他癌種でも共通するかを評価した。その結果、悪性黒色腫では同様の傾向を認めることが判明した。一方で消化器癌や婦人科癌ではそのような免疫微小環境の特徴は認めなかった。この結果は、現在開発中の抗TIGIT抗体の適応癌種やその効果の生物学的背景の理解に有用である。 同時に申請者はB細胞系の免疫環境と泌尿器科がんとの関係についても評価を行った。B細胞マーカーであるCD20の発現と腎細胞がんの予後との関連について調べたが有意差は認めなかった。B細胞が癌免疫環境で成熟して機能するには濾胞形成が必要なことが知られており、tertiary lymphoid structure(TLS)を形成する。申請者はTLSと腎細胞癌、膀胱癌との予後について関連を調べた。その結果腎細胞癌において成熟したTLS形成は極めてまれであることが判明した。また腎細胞癌においてはTLSの存在は予後不良と関連した。一方で膀胱癌においてはTLSの存在とその成熟は予後良好と関連することが判明した。癌免疫環境におけるB細胞の役割は不明なことが多く、この結果は生物学的背景の理解に有用である。
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