2023 Fiscal Year Research-status Report
The impact of PSMA-targeted proteolysis induction on advanced prostate cancer
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22K16795
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長屋 直哉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10795024)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PSMA / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はPSMAの発現がどのように抗アンドロゲン治療抵抗性に関わっているのか、その役割を明らかにするために研究を行っている。 初年度においては、去勢抵抗性前立腺癌患者から得られた血液検体を解析し、血中循環腫瘍細胞(CTC)におけるPSMAの発現とアンドロゲン受容体標的薬治療歴との関連を解析しPSMA陽性患者は、PSMA陰性の患者と比較してアンドロゲン受容体標的薬であるEnzalutamideの使用歴があったことを明らかにした。この結果からアンドロゲン受容体標的薬の使用がPSMAの発現に関与していることが示唆された。 今年度は、転移性去勢抵抗性前立腺癌において、CTCにおけるPSMAの発現とタキサン系化学療法開始後の予後との関連を新たに解析した。ドセタキセルに続きカバジタキセルの治療を受けた48人の転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とし、CTCにおけるPSMAの発現を経時的に解析した。観察期間中にCTCのPSMAの発現を認めた患者は27人、PSMAの発現を一度も認めなかった患者は21人であった。ドセタキセルによる治療開始後の全生存期間は、PSMAが陰性の患者よりもPSMAが陽性であった患者において短い傾向にあった。この結果から、CTCにおけるPSMAの発現は、転移性去勢抵抗性前立腺癌におけるタキサン系化学療法開始後の全生存期間と関連する因子であることが示唆された。 In vitroの実験においては、ヒト前立腺癌細胞株におけるPSMAの発現量をアンドロゲン依存細胞株と非依存細胞株で解析している。アンドロゲン非依存細胞株であるPC-3とDU145ではPSMAの発現は認められなかった。一方でアンドロゲン依存細胞株であるLNCaPではPSMAの発現を認め、ジヒドロテストステロン(DHT)によりPSMAのmRNA発現が低下することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度及び今年度で、前立腺癌患者から得られたCTCにおけるPSMAの発現とアンドロゲン受容体標的薬使用歴及び化学療法に対する効果との関連を解析した。In vitroの実験においては、ヒト前立腺癌細胞株におけるPSMAの発現量を解析し、アンドロゲン受容体経路とPSMA発現との関係性を解析した。PSMAの発現を、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を介してノックダウンさせ、増殖、浸潤、遊走能、及びIP3KーAKTーmTOR経路活性にどのような影響を与えるのかを現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
血中循環腫瘍細胞におけるPSMAの発現とアンドロゲン受容体標的薬使用との関連を解析した結果は、以前の報告と同様に、アンドロゲン受容体を阻害することでPSMAの発現が増強することが示唆された。さらにin vitroの実験においても、アンドロゲン依存細胞株であるLNCaPではPSMAの発現を認め、DHTによりPSMAのmRNA発現が低下することが確認された。今後、抗アンドロゲン薬抵抗性の前立腺癌細胞株におけるPSMAの発現も解析していく。そして、PSMAの発現が前立腺癌における増殖、浸潤、遊走能、及びIP3KーAKTーmTOR経路活性にどのような影響を与えるのか解析を進めていく。 PSMAに対する効果的なPROTAC開発も進めていく。PSMAをPROTACで分解する系を用いることができれば、前立腺癌細胞における増殖・浸潤・遊走能へのPSMAの関与をさらに明らかにすることができると考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度では使用する物品の購入は計画より少ない金額で可能であった。ヒト前立腺癌細胞株におけるPSMAの発現量解析実験とPSMAに対する効果的なPROTAC開発において、当該年度で使用しなかった次年度使用額と合わせて実験を行っていく。
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