2022 Fiscal Year Research-status Report
尿道の形態変化と排尿流動態の流体力学的相互作用の解析
Project/Area Number |
22K16799
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 琢郎 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50748754)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 医用超音波 / 前立腺部尿道 / 運動解析 / ベクターフローイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
排尿時の下部尿路において,尿道のどこがどのように動き,どのような形態変化をするのか,その臓器ダイナミクスを定量的に計測する超音波画像解析手法の構築に取り組んだ.まず,適切な画像解析手法を選定するため,先行研究で構築した男性下部尿路の排尿時エコーデータベースを用いて,複数の組織運動計測法を施行し,その有効性や組織運動の性状を評価した. まず組織ドプラーイメージング法による組織運動の超音波ビーム方向に対する速度成分を計測した.対象データは,男性の前立腺部尿道の矢状断面を経直腸に撮像したものであったが,組織ドプラーイメージングの結果,排尿開始や終了期の前立腺部尿道の運動は,臓器長軸方向への変化も大きく,直交する方向(尿道短軸方向)の速度成分だけでは臓器運動が適切に評価できないことが分かった.そこで,Multi-angle Vector Doppler法を応用し,臓器運動の2次元速度ベクトル場を計測した.その結果,臓器の展開・収縮における変形量やその位置や伝搬を計測・可視化する事ができた. この方法による臓器運動性状の評価法の開発やその精度の定量的評価のため,男性下部尿路の排尿時変形を模擬する可変形尿道モデルと実験系の構築を行った.光造形3Dプリンタやポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲルを用いて管腔臓器モデルを作成した.液体ポンプで管腔内部の圧力を制御する事により,実際の尿道のような収縮と展開が可能であることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
男性下部尿路の排尿時臓器運動について,画像平面2次元内での運動を高時空間分解で計測・評価する手法について,実際の尿道運動の基本的性状に基づく至適な計測法が明らかになった.今後,臓器運動の評価法を構築していく上で必要な実験系も順調に構築を進めており,本研究課題はおおむね順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
排尿時尿道変形を模擬する可変形尿道モデルの構築を進める.異なる下部尿路や前立腺性状に基づく臓器変形をシミュレートし,Multi-angle vector Doppler法による臓器変形の計測と得られたデータから臓器変形の時空間的性状を可視化する手法を構築する.さらに,内部流れの速度や圧力の分布との相互作用を解析する.提案手法の臨床的有効性を検証するため,下部尿路症状患者を対象としたUro-VFIシステムによる排尿流イメージングを実施し,様々な尿道性状における尿道運動と排尿流動態のデータベースを構築していく.
|
Causes of Carryover |
可変形尿道モデルの運動をコントロールするデジタルギアポンプを導入予定であったが,仕様決定および納期に予想以上の期間が必要だったため,当年度の導入を見送り,次年度導入する見込みである.
|