2022 Fiscal Year Research-status Report
進行性膀胱癌に対するRASを標的とした新規治療戦略の探索
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22K16805
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松下 良介 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (80735366)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / RAS阻害剤 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
RAS の過剰なシグナル亢進は腫瘍形成、細胞死の抑制、浸潤および転移などに寄与し、その変異や発現上昇がさまざまな癌で報告されており、最も有名な癌遺伝子として知られている。しかしながら、RASを標的にした阻害剤の臨床応用はなされておらず、臨床応用されている分子標的薬の多くはRASに関連する遺伝子を標的にしたものである。申請者のグループは、以前、RAS 阻害剤である Salirasibでは膀胱癌細胞株の抑制に高容量が必要であることを示し、更にSalirasibが投与された膀胱癌細胞株を用いたプロテオーム解析でRAS の下流遺伝子が十分に抑制されていないことを報告した。そこで本研究の目的として、薬剤感受性並びに耐性膀胱癌における新規RAS阻害剤によるRASを標的とした治療の可能性の探索と、それらに関わる癌シグナル経路を解明し、新たな治療戦略の基礎データを提示することとした。 今年度の成果として、以前、我々の教室では2種類の膀胱癌細胞株(BOYとT24)を用いて、ゲムシタビン耐性あるいはシスプラチン耐性細胞を樹立したが、耐性細胞を用いてゲムシタビン、シスプラチンに対するIC50の測定やRNAseq解析を行ったが、ゲムシタビンおよびシスプラチン耐性膀胱癌において、交差耐性は見られなかった。そこで、新規RAS阻害剤を用いて機能解析を行ったが、これらの耐性細胞株に対して抗腫瘍効果を示した。更にpan-RAS阻害剤を投与した細胞を用いてRNAseq解析を行い、多くの遺伝子が劇的に抑制され、特に細胞周期や細胞分裂に関与するパスウェイが阻害剤により制御されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤感受性癌並びに耐性細胞(ゲムシタビン及びシスプラチン耐性細胞)を用いた新規RAS阻害剤の機能解析の結果をまとめた論文が最近採択されたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR ライブラリーを用いた新規RAS阻害剤耐性に関わる遺伝子群の同定を現在行っている。新規RAS阻害剤耐性を獲得するに至った共通の候補遺伝子を選定し新規RAS阻害剤耐性関連シグナルの解明と既存薬による阻害効果の確認する予定である。
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Research Products
(1 results)