2023 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析の結果から考える淡明細胞型腎癌に対する新規治療戦略の開発
Project/Area Number |
22K16814
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小澤 迪喜 山形大学, 医学部, 客員研究員 (10637218)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | βアラニン / 腎癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が以前行った摘出腎癌組織のメタボローム解析の結果、有転移症例の特徴として、、摘出腎癌組織部でβアラニン含有量が多くなく(正常部分と同等か少ない)、イノシトール含有量が少ない、という知見が得られた。βアラニン、イノシトールが腎癌に対して起こす影響を調べることにより、これらの接種が腎癌治療への応用が可能となる可能性があると考え、研究を開始した。 腎癌治療薬の一つであるmTOR阻害剤は代謝に深く影響する薬剤である。そこで、mTOR阻害剤ラパマイシンを腎癌細胞株に添加しβアラニン、イノシトールを含めた代謝物の変化を解析した。4種のヒト腎癌細胞株で検討したところ、イノシトールは全ての細胞株で上昇したが、βアラニンは細胞株毎に挙動が一定しなかった。 βアラニン単独、およびラパマイシンとの併用で腎癌細胞株に添加し細胞活性を見たところ、βアラニン単独では細胞活性への影響は見られなかったが、ラパマイシンとの併用でラパマイシンの効果を増強することを確認した。 βアラニンのシグナル伝達への影響をウェスタンブロット法で確認したところ、βアラニンによりERKやAktのリン酸化抑制が確認され、βアラニンの作用機序の一つとして、ERK経路やAkt経路への影響があることが推察された。 βアラニンとmTOR阻害剤によるin vitroの効果がin vivoで確認できるか検討するため、ヒト腎癌細胞株A498をヌードマウスに皮下移植し検討したところ、ラパマイシン単独よりも併用において腫瘍縮小効果が強いことが観察された。
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