2023 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌同種移植マウスモデルを用いた化学療法感受性を規定する腫瘍免疫微小環境の解明
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22K16817
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北 悠希 京都大学, 医学研究科, 助教 (90647455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 腫瘍微小環境 / 癌関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
BBN化学発癌モデルとUPPL遺伝子改変モデル(Upk3a-CreERT2; Trp53L/L; PtenL/L)の複数の新規膀胱癌細胞株のうち、野生型B6マウスに皮下移植した際に高率に腫瘍を形成する6細胞株(BBN963,975、UPPL1541、1591、1595,1598)を同定した。これら皮下移植腫瘍は、同じモデル由来であっても異なる病理組織像を呈することが分かった。これら細胞株は、in vitroではシスプラチンに対して同等の感受性を有するが、in vivoでは感受性が異なることがB6マウスを用いた投薬実験により明らかになった。In vitroとIn vivoでのシスプラチンに対する反応性の違いは、免疫細胞や癌関連線維芽細胞を含む腫瘍微小環境の影響と考えられた。 シスプラチンのノンレスポンダーとレスポンダーとしてそれぞれ2細胞株ずつを選択し、bulk RNAseqを行った。これらは、unsupervisedクラスタリングにて別のクラスターとして分類された。また、分子サブタイプに関しては、ヒト膀胱癌コンセンサス分類に当てはめると、ノンレスポンダーはbasal suquamous subtype、レスポンダーはstroma rich subtypeに分類された。さらにCAFのsignatureを調べることで、CAFのpopulationにも相違がある可能性が示唆された。 GSEA解析を行い、ノンレスポンダーとレスポンダーの間で差のある遺伝子セットを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に実行予定であったbulk RNAseqのデータがそろい、概ね計画通りに進んでいる。 当初はsingle cell RNAseqまで2023年度に行う予定であったが、細胞調整の条件検討に長期間を費やし、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずシスプラチンのノンレスポンダーとレスポンダーとして選択した細胞株由来の同系皮下移植腫瘍からCD31-CD45-EpCAM-細胞(=CAF)を分離してsingle RNAseqを行い、それぞれの皮下移植腫瘍間のCAFのpopulationの違いや遺伝子発現の違いを検証する予定である。 また、これら細胞株の上清培養でサイトカインアレーを行い、腫瘍細胞がシスプラチン抵抗性に働く腫瘍微小環境を誘導するメカニズムを探索する。有望なサイトカイン・ケモカインが明らかになれば、中和抗体や腫瘍細胞での目的遺伝子の抑制により、腫瘍微小環境の構成成分やシスプラチンの感受性が変化するかを確認する予定である。
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