2023 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性腎癌に対するエクソソームを起点とした新規治療戦略の探索
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22K16820
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂口 大 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70779008)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイクロRNA / エクソソーム / 腎細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、エクソソームmiR-1の機能と、エクソソームがRCCの腫瘍メーカーを構成する可能性について検討した。まず、細胞ライセートやヒト血清からエクソソームをスピンカラム法で採取する方法を確立した。次に、Nanosightナノ粒子トラッキング解析とエクソソームマーカーCD63を用いたウェスタンブロット解析を用いてエクソソームを評価した。PKH26で標識したエクソソームがレシピエント細胞と融合することを確認した。さらに、miR-1トランスフェクション細胞由来のエクソソームで処理したRCC細胞では、miR-1の発現が上昇した。機能解析により、エキソソームmiR-1は、対照治療と比較して細胞の増殖、遊走、浸潤を有意に阻害することが示された。RCCのTCGAデータベースを用いた解析では、臨床RCC検体ではmiR-1発現が正常腎臓検体と比較して有意にダウンレギュレーションされており、miR-1発現が低い患者は高発現の患者と比較して全生存期間が短いことが示された。さらに、RNA配列解析により、いくつかの遺伝子の発現レベルがエクソソームmiR-1への曝露によって変化していることが示された。TCGAデータベースを用いた解析により、MYO15Aの高発現はRCCの転帰不良と関連していることが示された。さらに、臨床患者の血清由来のエクソソームのRT-qPCR解析では、RCC患者ではMYO15Aが健常対照と比較して有意にアップレギュレーションされていることが示された。この研究は、エクソソームmiR-1による治療がRCCの治療に有効なアプローチであるとともにエキソソームMYO15AはRCCの診断腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された。さらに附随研究としてスニチニブ耐性腎細胞癌細胞株においてsecretogranin II がHIF1を介した標的遺伝子となり得ることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソーム関連の論文を作成できて順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
他のマイクロRNAにも着目して、対象の遺伝子を広げて研究を進めたい。
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