2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症に起因する卵巣機能不全の克服に向けた研究
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22K16829
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 亜利砂 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (70828780)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 卵巣機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子宮内膜症による不妊患者について、特に子宮内膜症による卵巣機能低下の観点から明らかにすることを目的とし、子宮内膜症モデルマウスと子宮内膜症患者より採取した卵巣の検体を用いて実験を行っている。 これまでに、子宮内膜症モデルマウスにおいて、卵巣機能が低下すると考えられるPI3-kinase経路を特定したが、その経路が子宮内膜症患者においても適応できるか、子宮内膜症にて手術を行った患者から採取した卵巣組織を免疫組織学的検討を行うべく、これまでのアーカイブに追加し、新たにサンプルの抽出を行い、サンプルの初期卵胞の割合についての分析を行った。 同時に、子宮内膜症モデルマウスにおいて、卵巣機能を回復させる薬剤の投与実験を行った。具体的には、子宮内膜症モデルマウスにより明らかかとなったPI3-kinase経路を阻害されていると考えられる薬剤のうち、既存の薬剤で、かつ妊娠への安全性が確立されているメラトニンを投与することにより、卵巣機能が改善するか検証を行った。その結果、メラトニンを投与した子宮内膜症モデルマウスから採取した卵巣では、初期卵胞の割合が、投与しない群に比べて高くなることがわかった。これらのことから、メラトニンを投与することにより、卵巣機能が改善する可能性が示唆された。 今後、子宮内内膜症による不妊患者より体外受精の際に採取する卵胞周囲の顆粒膜細胞をサンプルとして用い、さらなる検証を行っていくことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19のパンデミックなどの影響から手術件数が減っており、子宮内膜症患者からの卵巣検体回収に時間がかかっているため、当初の予定よりやや適切な検体回収に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験を引き続き行い、検証の精度をあげるとともに、今後、子宮内内膜症による不妊患者より体外受精の際に採取する卵胞周囲の顆粒膜細胞をサンプルとして用い、遺伝子発現の網羅的解析を行うことにより、子宮内膜症による不妊のメカニズムを明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
当初より検体回収がやや遅れており、そのため実験費用が当初よりも少なくなった。次年度は、検体数も増える見込みであるため、今年度分の実験費用を含めて予定通り使用可能であると考える。
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