2022 Fiscal Year Research-status Report
Th1/Th2バランスをターゲットとしたPDE5阻害薬による流産改善効果の検証
Project/Area Number |
22K16833
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高山 恵理奈 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90589847)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | lipopolysaccharide (LPS) / 流産モデルマウス / Th1/Th2バランス説 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖補助医療では体外受精技術が飛躍的に進歩した一方で、子宮内に胚移植した後の着床不全と不育症に対する治療法に改善が乏しい。そこで本研究ではTh1/Th2バランス説に基づいた流産モデルマウスを用いた動物実験を実施する。 まず流産モデルマウスを作成するため、適度な流産率になるようなリポ多糖(LPS)投与の至適投与量を決定することを目標とした。C57BL/6J雌雄マウスを交配させ、胎盤形成が開始する時期に任意の量(0.125~1.0mg/kgBW)のLPSを腹腔内に投与し、Control群には生理食塩水を腹腔内投与した。その後流産率や胎児および胎盤の重量を測定した。Control群と比較して、0.5mg/kgBW投与群では、胎児重量および胎盤重量が有意に軽く、LPS投与が胎盤形成および胎児発育に影響を与えた可能性があった。しかし0.5mg/kgBW群では流産が確認されず、投与量を増やした0.75、1.0mg/kgBW群ではすべての妊娠部位が流産した。これはLPS投与のタイミングが早かった可能性が考えられた。したがって、LPS投与を子宮のリモデリングが開始する時期に遅らせることで、流産率の評価が可能か調べた。同様に交配させたマウスのLPS投与群とControl群の流産率、脾臓、胎児および胎盤の重量を測定したところ、LPSの投与量依存的に脾臓重量、流産率、IUFD率が増加した一方で、LPS投与により胎児重量、胎盤重量および胎児/胎盤重量比が低下した。さらに研究を進め、流産マウスの作成を確立し、抗炎症性作用を持つPhosphodiesterase 5阻害薬を投与することにより、子宮内膜のmacrophageが催炎症性のM1型から抗炎症性のM2型に誘導され、Th1/Th2細胞数比がTh1 < Th2に導かれることによって、受精卵の着床ならびに妊娠の成立と維持に有利に作用することを検証する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の段階では、令和4年度は流産マウスの作成を行い、令和5年から6年度に流産マウスへtadalafiを投与し、サンプリングにより、Th1/Th2/Th17/Treg 細胞数とM1/M2 型macrophage の細胞数を計測する予定であったが、進行状況はやや遅れている。流産マウス作成のための予定していたLPSの投与時期が早い可能性が考えられ、モデルマウス作成に難渋していたり、高度生殖医療センターの臨床業務として、令和4年4月から生殖補助医療の保険診療化に伴い、臨床業務が顕著に増えたため、研究の進行がやや遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの本研究結果から、LPS投与が交配させたマウスの胎盤形成に影響があることは実証されており、さらに研究を進めて、適度な流産率になるようなLPS投与の至適投与量を決定することをまず目標とし、流産モデルマウスの作成を確立する。
|
Causes of Carryover |
次年度の使用金額は20000円であり、想定範囲内の繰り越し金額である。 次年度、LPSを投与して流産モデルマウス作成を確立し、そのマウスへtadalafiを投与した後、サンプリングを行い、Th1/Th2/Th17/Treg 細胞数やM1/M2 型macrophage の細胞数、流産率等を測定する予定である。
|