2022 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージのヘモグロビン処理と卵巣チョコレート嚢胞の炎症・発がんとの関連
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22K16837
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
楠木 槙 熊本大学, 病院, 診療助手 (60920501)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮内膜症性嚢胞 / マクロファージ / ヘモグロビン / 子宮内膜症関連卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症では腹腔内の炎症状態が病巣の進展を促進することが指摘されている。卵巣チョコレート嚢胞は内部に血液貯留を伴う閉鎖空間が形成される点が特徴的であるが、炎症との関連について、特にチョコレート嚢胞に焦点を当てられた研究は少ない。嚢胞内溶液は高サイトカイン状態であることがわかっているが、その成因は不明である。嚢胞壁にはヘモグロビンを処理することにより生じたヘモジデリンを含有するマクロファージが多く認められるが、ヘモジデリン含有マクロファージが炎症状態や発がんに与える影響についての研究は、ほとんどなされていない。本研究では、卵巣チョコレート嚢胞組織や内容液・ヒト末梢血単球由来マクロファージを用いて、ヘモジデリン沈着がマクロファージの活性化に及ぼす影響や、ヘモジデリン含有マクロファージと子宮内膜症関連卵巣癌の細胞間相互作用について詳細なメカニズムを解析する。本研究によ、マクロファージの活性化を標的とした治療法あるいは診断マーカーの開発につなげるため、チョコレート嚢胞形成・発がんにおけるマクロファージ活性化の影響を明らかにすることを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト末梢血単球からのマクロファージを誘導・培養、市販の精製ヘモグロビンを添加して産生されるサイトカインなどの遺伝子発現の解析、ヘモグロビン貯留により活性化される経路や遺伝子発現を制御する重要な因子を探索することを目的に、研究手法を確立させている段階であるが、所属施設が臨床診療施設と研究機関を兼ねており、所属部署の人員不足により、研究の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト末梢血単球からマクロファージを誘導・培養し、市販の精製ヘモグロビンを添加して産生されるサイトカインなどの遺伝子発現をRNAシークエンスで網羅的に解析する。KEGGパスウェイ解析などを利用し活性化シグナルを予測するとともにRTKアレイやWestern blotにより詳細なシグナル経路活性化状況を解析する。マクロファージの細胞表面マーカーの発現などもフローサイトメトリーや免疫細胞染色などにより解析を加える。共同研究を継続している細胞病理学講座と協力し、上記解析をすすめていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対応により、研究計画通りに実施できなかったため。
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