2022 Fiscal Year Research-status Report
栄養膜細胞由来ナノ粒子に着目した新たな細胞外輸送機構の解明と妊娠高血圧腎症の予知
Project/Area Number |
22K16843
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
野口 隼矢 日本医科大学, 医学部, 助教 (30879698)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 胎盤 / 胎盤特異的mircroRNA / 細胞外ナノ粒子 / 妊娠高血圧腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
①栄養膜細胞の分化・増殖および異常に伴い分泌されるナノ粒子の包括的な発現解析と細胞間シグナル伝達機構の解明、②ナノ粒子の臨床応用のための基盤確立を目指し、妊娠高血圧腎症妊婦の発症および発症前血漿中のナノ粒子を解析し、新規予知因子の探索・同定を行うことを目的として研究を行った。 ①:胎盤栄養膜細胞株(BeWo細胞)から分泌される細胞外小胞および細胞外ナノ粒子を段階的超遠心分離法によって分離・精製し、透過型電子顕微鏡解析、Nano-tracking analysisによって構造解析を実施し、各マーカーを用いたウェスタンブロット解析を実施した。これによりBeWo細胞から細胞外ナノ粒子が多量に分泌されていることが明らかとなった。次に細胞外ナノ粒子におけるmicroRNAリアルタイムPCR解析を実施したところ、これまで細胞外小胞において豊富に含有されていると考えられていた胎盤特異的microRNA(C19MC)のいくつかは細胞外ナノ粒子により豊富に含有されていることが明らかとなった。またそれら細胞外ナノ粒子を分離した後、レシピエント細胞に対する取り込み解析を実施したところ、細胞外ナノ粒子由来C19MCがより多量にレシピエント細胞へと取り込まれ、標的mRNA発現を減少させることが明らかとなった。このことから細胞外ナノ粒子が胎盤特異的miRNAの機能的キャリア―である可能性が示唆された。現在、臨床サンプルから分離および初代培養を実施した栄養膜細胞を用いた解析を進めている。 ②:血液サンプル由来の細胞外ナノ粒子の分離・精製の条件検討および予備解析を実施した。正常妊婦およびPE発症妊婦血液サンプルの採取を進めるとともに、随時解析を実施できるよう準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた構造解析・機能解析はおおむね予定通り進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画に沿って研究を進める予定である。
|