2023 Fiscal Year Research-status Report
栄養膜細胞由来ナノ粒子に着目した新たな細胞外輸送機構の解明と妊娠高血圧腎症の予知
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22K16843
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
野口 隼矢 日本医科大学, 医学部, 助教 (30879698)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胎盤 / 胎盤特異的mircroRNA / 細胞外ナノ粒子 / 妊娠高血圧腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
①栄養膜細胞の分化・増殖および異常に伴い分泌される細胞外ナノ粒子(NVEP)の包括的な発現解析と細胞間シグナル伝達機構の解明、②ナノ粒子の臨床応用のための基盤確立を目指し、妊娠高血圧腎症妊婦の発症および発症前血漿中のナノ粒子を解析し、新規予知因子の探索・同定を行うことを目的として研究を行った。 ①:胎盤栄養膜細胞株(BeWo細胞)から分泌される細胞外小胞(EV)および細胞外ナノ粒子(NVEP)を段階的超遠心分離法によって分離・精製し、NVEPが多量に細胞外へと分泌されていることが明らかとなった。次にNVEPにおけるmicroRNAリアルタイムPCR解析を実施したところ、胎盤特異的microRNA(C19MC)のいくつかは(miR517a-3p, miR1323)はNVEPにより豊富に含有されていることが明らかとなった。またNVEPのレシピエント細胞(ヒト末梢血白血病T細胞株:Jurkat細胞)に対する取り込み解析を実施したところ、NVEP由来C19MCがより多量にレシピエント細胞へと取り込まれ、標的mRNA発現を減少させることが明らかとなった。このことからNVEPが胎盤特異的miRNAの機能的キャリア―である可能性が示唆された。 また、臨床サンプルとして満期胎盤から分離・初代培養した胎盤栄養膜細胞からも同様にEVおよびNVEPの分離・精製ができており、含有されている伝達物質に対する網羅的解析に加え、末梢血より分離した単核球に対する影響についても解析を進めている。 ②:血液サンプル由来の細胞外ナノ粒子の分離・精製の条件検討および予備解析を実施した。現在、予備解析から血中由来NVEPの分離方法の改良を進めており、完了次第、随時、採取している正常妊婦およびPE発症妊婦血液サンプルからの解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた構造解析・機能解析はおおむね予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に沿って研究を進める予定である。
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