2022 Fiscal Year Research-status Report
未受精卵子体外培養及び未受精卵子凍結における卵子ミトコンドリア動態を解明する
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22K16844
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 由妃 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (00836992)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵子凍結 / ミトコンドリア / がん・生殖医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期前(AYA世代: Adolescent and Young Adult)を含めた若年がん患者の妊孕性温存療法の中で、月経周期に関わらず施行可能な卵巣組織凍結は、初経前の小児や思春期前の患者で唯一の選択肢となる。一方で凍結融解組織の移植によってがん細胞を体内に戻してしまう可能性は拭えない。 これを回避する対策として、卵巣摘出時に得られる未熟卵子を体外培養し、成熟卵子を獲得する技術を早急に確立する必要がある。凍結融解や体外成熟培養といった処置がもたらす、未熟卵子特有の細胞傷害の原因究明を成熟卵子でのデータと比較し行う。本研究は生児獲得につながる未熟卵子の体外培養方法の確立を目的として、凍結融解や体外成熟培養といった処置がもたらす細胞障害の原因を検討する。2022年度は未熟卵子における凍結・融解ストレスによるミトコンドリア動態を解析することを目指した。マウス新鮮・凍結融解未熟卵子におけるMT・TMREの蛍光染色後にミトコンドリアクラスター分布及びミトコンドリア動体を3D画像で評価することを目指したが、既存のPCでは容量が不足し解析が困難であることが発覚した。このため3D解析が可能であるハイスペックPCの導入を進めたが、ロシアでの戦争をはじめとした社会情勢の影響により海外からの運搬の遅滞に伴う長期間の納入遅延となった。半年程度遅滞があったものの、ハイスペックPCの設置が完了し、解析手法の確認が済み、サンプルの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
3D画像でのサンプル評価を目指したが、既存のPCでは容量が不足し解析が困難であることが発覚した。このため3D解析が可能であるハイスペックPCの導入を進めたが、ロシアでの戦争をはじめとした社会情勢の影響により海外からの運搬の遅滞に伴う長期間の納入遅延となった。半年程度遅滞があり、研究計画は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は未熟卵子の体外培養技術及び未受精未熟卵子における凍結・融解技術を向上させることを目的としている。初年度の研究計画に大幅な遅延があるため、次年度の計画予定として以下の計画を実施することとする。 1:卵子成熟過程における遺伝子情報の変化を立証する:卵子のRNA sequenceを実施し、ミトコンドリア関連遺伝子及びアポトーシス関連遺伝子 における相関を解析し、新たな遺伝子情報の確認と卵子傷害経路の立証を行う。 2:未熟卵子における卵子オルガネラ(ミトコンドリア/小胞体/ゴルジ体)の動態解析:GV期卵子のミトコンドリア及びオルガネラの分布を走査型電子顕微鏡解析し、またミトコンドリア動態について膜電位活性をTMREによる蛍光染色後に共焦点レーザー顕微鏡にて確認する。ミトコンドリアエネルギー産生に関与する小胞体(Cell-Light染色)、ゴルジ体(Goldi-Id染色)の分布を同様に確認する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症及びロシアの戦争の影響で海外からの荷物運搬が遅滞し部品の早期収集が困難であった。卵子の3D解析を実施するためのハイスペックPCの納入が半年以上遅延したために研究が滞り、次年度使用額が生じている。現在はハイスペックPCの納入及び使用方法の習得が終わっており、卵子の3D解析に着手できている。計画に遅れが生じてはいるが、当初の初年度計画に則り研究を進めることを計画している。
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