2023 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞癌に対するCarbonyl reductase 1遺伝子治療の有効性
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22K16848
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大澤 有姫 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (30613484)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 遺伝子治療 / 子宮頸癌 / ヒトパピローマウイルス / ddPCR / cf-HPV-DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌患者における血漿中のヒトパピローマウイルス(HPV)を定量化し、予後予測マーカーとして血漿中の血液遊離遺伝子(cell free DNA; cfDNA)が近年、癌の早期発見や治療効果予測に有用なバイオマーカーとして注目されている。また子宮頸癌はほとんどがHPVの持続感染が原因とされている。子宮頸癌のリスクとなるHPVはHPV16・18型が最も多い。HPVは8000塩基の二本鎖環状DNAウイルスであり、発癌機序にはE6、E7領域の遺伝子発現がある。HPVのE7領域をターゲットとしてdroplet digital PCR(ddPCR)にて高感度でHPV-cfDNAが検出されることから有用なバイオマーカーになりうるのではないかと考えられた。また、患者の血漿中からもdroplet digital PCR(ddPCR)にて高感度でHPV-cfDNAが検出されたとの報告がある。 当研究の目的としては、子宮頸癌患者の血液検体よりddPCRでcf-HPV-DNAを定量化し、子宮頸癌の治療前評価および再発バイオマーカーとしての有用性を検討することである。 2022年度は基礎実験として、血漿サンプルにHPVの人工プラスミドを入れてcfDNAを精製し、ddPCRで高感度に検出されることが判明した。 2023年度は倫理委員会承認を得られた(承認番号:2022-126)、子宮頸癌患者よりHPVタイピング、血液採取を行った。現時点(2024年4月)までで子宮頸癌患者35名より同意を得られた。HPV陰性と複数型陽性症例は除外とし、26名が対象となった。治療前のHPV-cfDNA陽性例はⅠ期2/10例、Ⅱ期1/3例、Ⅲ期9/10例、Ⅳ期3/3例とⅢ期以上は高感度に検出された。治療後半年以内に2例が再発を認め、いずれも子宮頸癌の腫瘍マーカーよりもHPV-cfDNAの早期上昇を認め、再発バイオマーカーとしての有用性が示唆され、今後も検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
科研費申請後に研究機関から異動になったため、当初申請していた卵巣癌研究内のマウスの研究のように毎日観察するような研究が困難となった。卵巣癌遺伝子治療の研究と同様に急がれる課題として、子宮頸癌の早期発見・再発予期に寄与する研究があったため、現状で実施可能な研究としてそちらを遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時とは研究環境が変化しており、当初予定していた卵巣癌の研究が滞る状態となってしまった。研究計画書に記したマウスを用いた研究は、連日の観察が必須となるため、当該研究機関での研究体制が整い次第、再開を検討している。卵巣癌研究に代わる研究として、子宮頸癌の早期発見・再発予測マーカーとなりうる、患者血清中ヒトパピローマウイルスの血液遊離遺伝子(cell-free DNA; cfDNA)のバイオマーカーとしての有用性についての研究を先に遂行させていただいた。 患者検体を利用した研究のため弘前大学大学院医学研究科倫理委員会で承認を得て(承認番号:2022-126) 、子宮頸癌および子宮頸癌の前癌病変である子宮頸部異形成の患者より治療前、治療後の血液検体を収集し、ddPCRにてHPV-cfDNAを解析した。これまでにで子宮頸癌患者35名より同意を得られ、進行期がⅢ期以上で進んでいるほど、高感度にHPV-cfDNAが検出されていることが判明している。また、再発マーカーとしても早期発見に有用となるか、更に検体を収集して検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた研究が状況の変化により実施困難となり、現在の状況で遂行可能な研究を進めているため、次年度使用額が生じた。また、研究結果の発表はこれからを予定しているため、学会参加に使用する経費も未使用であった。次年度には現在の研究の検体数を増やすとともに、当初の計画が実施可能となれば、マウスの購入や卵巣癌細胞株の購入等に使用予定である。
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