2022 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲン転写補助因子Ncoa6による細胞骨格制御は子宮内膜症進展に関与するか
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22K16870
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡邉 憲和 山形大学, 医学部, 助教 (10594319)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 子宮内膜間質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症は、子宮内膜あるいはその類似組織が異所性に存在する疾患で、異所性内膜が正常組織に浸潤して疼痛、不妊症、発癌の原因となり、著しくquality of life を低下させる。本研究の目的は、難治性疾患である子宮内膜症の組織浸潤の機序を細胞骨格の視点から明らかにし、新たな治療ターゲットを見出すことである。 我々は、子宮内膜症性嚢胞10例の手術摘出検体から異所性子宮内膜間質細胞を分離培養した。10例には術前にゴナドトロピン放出ホルモン受容体アンタゴニストによって、偽閉経療法を受けている患者が含まれていた。また、同様に、子宮体部内膜から正所性子宮内膜間質細胞を分離培養した。子宮内膜症組織から採取した異所性子宮内膜間質細胞は発育速度が遅かったため、培養条件を変更しながら培養を試みた。正所性・異所性の子宮内膜間質細胞について、Ncoa6の発現をWestern blotで比較したところ、正所性子宮内膜間質細胞に比べて、異所性子宮内膜間質細胞の方がNcoa6の発現が低かった。 その他の関連シグナル蛋白についても検討を始めたが、子宮内膜症由来の異所性子宮内膜間質細胞はin vitroでの発育が悪く、十分に研究を進めるだけの細胞量を確保できなかったため、研究の進行はまだ不十分である。一方、正所性子宮内膜の培養は順調であり、正所性子宮内膜を使用してNcoa6や細胞浸潤に関連する経路の探索を行っている。正所性子宮内膜間質細胞から抽出した蛋白、RNAを用いてwestern blottingやreal time PCRを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近年、子宮内膜症は手術を行わずに保存的治療を行うことが増えているため、子宮内膜症の手術症例が減っている。そのため、当院で手術した症例が予想より少なく、子宮内膜症の検体を採取する機会が少なかった。また、子宮内膜症の手術検体から採取した異所性子宮内膜間質細胞が細胞培養で増えるのに時間がかかり、蛋白質や遺伝子解析に必要な細胞の量が確保できなかったため、解析できた項目が少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
主に研究推進の制限となっているのは、子宮内膜症の手術検体から採取した異所性子宮内膜間質細胞の培養の遅れである。培養条件について随時見直しながら培養を行うが、それでも異所性子宮内膜間質細胞の培養が成功しない場合は、正所性子宮内膜を用いた実験を優先して行う。
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