2023 Fiscal Year Research-status Report
マウス子宮蠕動運動と食事による概日リズム調節に注目した産科婦人科疾患予防法の探索
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22K16875
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
細野 隆 金沢大学, 附属病院, 助教 (50867893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / 概日リズム / 子宮 / 子宮収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズムは一日単位のリズムであり、視床下部の中枢時計と各臓器内の末梢時計が同期して形成され、基本的な生体活動を維持している。一方で女性は月経周 期という月単位の生殖リズムを有しており、子宮や卵管の収縮リズムはこれに連動して変化する。子宮収縮は月経や分娩に必須の運動であり、その異常は月経困 難症、子宮内膜症、着床障害さらに早産などに関与すると推察される。我々の研究は子宮収縮が子宮末梢時計の制御を受けており、様々な産科・婦人科疾患が時 計遺伝子が原因の一つである可能性を明らかにすることである。これまですでに開発済みのEx vivoでの子宮収縮が解析可能な実験系を用いてWTマウスと子宮特 異的Bmal1KOマウスを比較し、子宮収縮のリズム、頻度に差があるかどうかを解析した。平滑筋収縮は“振り子運動”、“分節運動”、 “蠕動運動”の3つがあ るが、特に蠕動運動に関して注目し解析を行った。しかしEx vivoでの子宮収縮運動に関しては両者に明らかな差が見られなかった。本研究ではIn vivoでの子宮 収縮運動の解析を検討している。 消化管の蠕動運動は外層の縦走筋と内層の輪状筋の正確な同期が必要であり、近年時計遺伝子による調節を受けていると報告 されている。我々は子宮と消化管が共に内輪外縦構造から成るという組織学的類似性に着目し、これまで研究の過程で子宮の概日リズムが消化管と同様に食事行 動に制御されるという新たな事実を明らかにした。本年はさらに、不規則な食事が子宮概日リズムを著しく障害するという事実を明らかにした。次年度は引き続 き、時計遺伝子発現と子宮収縮運動との関連性を明らかにし、将来的には食事タイミング指導による、子宮異常収縮によって引き起こされる婦人科疾患の予防を 目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の実験計画で作成したモデルマウスに関して論文発表を行なった。in-vivoでの子宮収縮解析が当初の予想より困難とわかり、実験系の改良やその他の方法を検討する必要があり、計画に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮における時計遺伝子の機能に関しては子宮収縮のみに限定せずに、その他の要因(不妊や炎症など)も考えていく必要がある。
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Causes of Carryover |
本年は都合により研究に遅れが生じ、余剰資金が生じた。 次年度は計画遂行のため、実験系の改良やマウス実験、学会発表・論文投稿費用 に充てる。
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