2022 Fiscal Year Research-status Report
卵巣微小環境の老化分子機序の解明と抗加齢療法の開発
Project/Area Number |
22K16879
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田崎 秀尚 岡山大学, 生殖補助医療技術教育研究センター, 助教 (00862012)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 老化 / 卵胞 / 卵母細胞 / 顆粒層細胞 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
主成分分析の結果、体内で発育した卵胞由来卵丘細胞(CCs)では、老齢個体と若齢個体の間でばらつきが認められたのに対し、体外培養卵胞のCCs(vitro CCs)では高い類似性が認められた。発現変動遺伝子(DEGs)のGene ontology 解析の結果、老齢区で上昇したDEGsはコレステロール生合成、脂肪代謝、ステロイド合成関連遺伝子が多く、また低下したDEGsは血管新生、細胞外マトリックス形成にエンリッチメントした。体外発育させた卵母細胞の体外成熟培養の結果、卵の染色体異数性は体外発育卵と体内発育卵で差は認められなかった。一方で紡錘体の形態異常率と染色体不整列率は、体外発育卵で改善する傾向が認められた。また姉妹染色分体の動原体間距離は、体外発育卵において有意に短縮した。これらの結果より、未発育卵胞由来顆粒層細胞は加齢による影響を受けているが、体外培養により遺伝子発現の変化を改善できることが明らかとなった。また、体外発育培養は老化個体由来卵母細胞の染色体分配エラーの改善に有効である可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたトランスクリプトーム解析を終え、老化個体で変化のある遺伝子群を同定した。さらに培養実験により老化個体由来の卵母細胞の機能が改善する結果を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
変動のあったシグナル伝達経路を3次元培養において活性化剤もしくは抑制剤により操作し、その機能を解析する。この知見を基に、卵母細胞の低質化を誘導する遺伝子の同定、および機能解析を目指す。
|
Causes of Carryover |
当初の予定より実験が進み、使用マウスを削減できたため当該年度に差額が生じた。 一方で、一部の消耗品の価格改定があるため、次年度の請求額への合算を希望する。
|