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2022 Fiscal Year Research-status Report

漿液性卵巣癌における卵管采前癌病変の発癌機序解明

Research Project

Project/Area Number 22K16883
Research InstitutionNara Medical University

Principal Investigator

杉本 澄美玲  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30645867)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords正常卵管采上皮の抗酸化力の低下 / 癌細胞における抗酸化力の増加
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、正常卵管上皮細胞から段階的にSCOUT→p53 signature→休止型STIC→活性型STIC→HGSCと発癌が進む卵巣漿液性癌(HGSC)において、p53 signature→休止型STIC→活性型STICの進展に関与する分子病理学的機序を解明することである。
p53、Ki-67、CD44v9の免疫染色態度から予想される発癌過程では、p53 signature→休止型STIC→活性型STICの段階が重要であり、正常卵管上皮細胞とSCOUTの段階はCD44v9陽性のため抗酸化能が高く月経血や排卵刺激による酸化ストレスから保護されている。SCOUT からp53 signatureへ移行する段階はp53遺伝子変異が起こるものの、CD44v9がまだ発現しているため、酸化ストレスによるDNA障害を保護し形態学的変化もみられない。p53 signatureから休止型STICへの癌化過程ではCD44v9が高メチル化等のため発現が低下すると、遺伝子不安定性が蓄積し、形態学的にも細胞異型が生じ、癌化に向かって歩み出すと考えられる。
現在、正常の卵管采分泌細胞株を過酸化水素を用いて酸化ストレスを付加したところ、CD44v9の蛋白発現量が低下した。一方、卵巣漿液性癌(HGSC)の細胞株においては、酸化ストレスの負荷前後でCD44v9発現量に変化はなかった。すなわち、強い酸化ストレスの生じる環境下では、発癌母地となる正常細胞の抗酸化力は低下するが、発癌後の細胞においては癌の進展のため抗酸化力は保たれるか増加すると推測される。正常細胞においては防御因子の低下が発癌を促進させ、癌においては防御因子が維持される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

卵管采の不死化細胞株において、p53遺伝子をsiRNAでノックダウンを試みているが、上手くノックダウンできず、原因の究明とSiRNA試薬の種類の変更を試みているところである。

Strategy for Future Research Activity

発癌課程で防御因子であるCD44v9の発現が増減することから、各病変における卵管采の抗酸化力を定量的に評価する。HGSC患者の卵管標本を用いて、卵管の前癌病変部の細胞集団をレーザーマイクロダイセクションによって単離し、DNAおよび蛋白を抽出する。各病変群(SCOUT, p53 signature, 休止型STIC, 活性型STIC)におけるCD44v9蛋白量の定量をWestern blottingを用いて行う。また、CD44v9遺伝子領域について、Next-generation sequencing(NGS)を用いたDNAメチル化の受託解析を利用し、酸化ストレスとDNAメチル化の程度を探る。CD44v9の定量値およびCD44v9遺伝子領域のDNAメチル化の程度と、患者の臨床的背景(年齢、初経・閉経、妊娠歴、既往歴等)と統計学的に比較検討する。

Causes of Carryover

当初予定していた学会発表が次年度へ延期となったため。

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Published: 2023-12-25  

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