2022 Fiscal Year Research-status Report
免疫学的アプローチによる早産におけるアラーミンの機能解明
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22K16887
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
加藤 雅彦 日本医科大学, 医学部, 助教 (90614751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 早産 / アラーミン / 羊水 |
Outline of Annual Research Achievements |
早産は最も多く遭遇する産科合併症であり、児の予後を大きく左右する。一般に病原体感染に起因する絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis:CAM)は主要な早産の原因であるものの、CAMを伴わず原因不明に分類せざるを得ない症例も多く、その発症メカニズムには不明な点が多い。近年、心血管疾患、腎臓病、糖尿病などの領域において、強い炎症を惹起する“アラーミン”と呼ばれる分子群が注目されている。このアラーミンは生体の免疫系に作用、無菌性炎症を惹起し様々な病態を引き起こす。本研究では羊水中のアラーミンを解析するとともにそれによって惹起される免疫機構の検索を目的とする。 本研究では帝王切開術中に採取された羊水を検体として取り扱うが、骨盤位や既往帝王切開の適応で予定帝王切開に至った症例(陣痛なし)、分娩進行中、分娩停止となり緊急帝王切開となった症例(陣痛あり)との比較を行う。さらに早産や妊娠高血圧腎症などの妊娠合併症症例の検索も行い、陣痛発来やさまざまな産科合併症に関わる、アラーミン、免疫細胞動態を解析する。 現在、数例の羊水サンプルを採取、解析している。羊水は非常に脂質成分(胎脂の影響と思われる)に富み、当初細胞の分離が困難であった。その後メッシュ、固相カラム、細胞分離液などを使用し条件設定の検討を行い、より効率的に免疫細胞解析が可能となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間において、研究者が所属する期間の倫理委員会承諾を得て羊水サンプルの検討が始められた。羊水は非常に脂質に富み、免疫細胞の抽出が難しくこれまでメッシュ、固相カラム使用などで条件設定の模索を行なっている。研究所年度の後半には羊水中の免疫細胞の解析可能な条件を決定しており、今後サンプル数、解析データの集積を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、羊水中の免疫細胞の動態解析、さらには羊水に含まれるHMGB1、IL-33、IL-1α、S100蛋白などの解析も行い、陣痛発症に特異的な免疫細胞、アラーミンの同定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行に際し、使用抗体量の適切な調整、器具の滅菌、再利用などで研究結果に影響のない範囲での節約を行なったため、次年度使用額が生じたためと考えられる。
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