2023 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛有毛細胞再生機構におけるエンドセリン受容体Bの機能解明
Project/Area Number |
22K16899
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 麻美 京都大学, 医学研究科, 助教 (00599524)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 単一細胞トランスクリプトーム解析 / 支持細胞 / 有毛細胞再生 / エンドセリン受容体B2 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、鳥類蝸牛有毛細胞再生過程において、EDNRB2が支持細胞の脱分化から有毛細胞再生を誘導する鳥類特異的新規マーカー分子である可能性を示した。本年度は、鳥類蝸牛有毛細胞再生過程におけるEDNRB2の役割を探索すべく以下の研究を推進したためその成果を報告する。 1、胎生期におけるEDNRB2の発現変化の検証:共通の前駆細胞から、有毛細胞と支持細胞への運命決定がなされる時期、その後の成熟期における胎生4日、7日、9日、11日齢の蝸牛を採取して凍結切片を作成し、in situ hybridizationを行った。結果、7日齢と9日齢の蝸牛感覚上皮にのみEDNRB2の発現が観察された。よって、EDNRB2は再生過程と同様に、胎生期の共通の前駆細胞から有毛細胞、あるいは支持細胞への分化が始まる時期に一過性に発現することが確認できた。 2、EDNRB阻害による有毛細胞再生への影響の検討:EDNRB阻害剤を投与し、再生有毛細胞数および支持細胞数に影響があるかを定量的に評価した。結果、EDNRB阻害剤投与を行うと再生有毛細胞数は有意に減少した。一方で支持細胞数は変化がなかった。よって、EDNRB2は共通の前駆細胞から有毛細胞の前駆細胞への誘導の役割がある可能性が示唆された。 3、EDNRB2シグナルの下流分子の探索:EDNRB阻害剤投与により再生有毛細胞数が減少したことより、下流の責任分子を探索する目的で阻害剤投与群および非投与群でのRNA-seqを行い、発現比較解析を行う予定である。現在サンプルの調整中(RNA定量、純度確認中)である。 4、EDNRB2の上流転写因子の探索:EDNRB阻害剤投与群と非投与群においてbulk RNA-seq、bulk ATAC-seqを行った。現在統合解析を行い、上流転写因子候補を絞り込むための統計学的解析を推進中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鳥類蝸牛有毛細胞再生過程におけるEDNRB2の役割、ならびに分子機構の解明にむけて、上流・下流それぞれの分子の探索とEDNRB2自体の再生過程での機能解析を進められており、概ね予定通りである。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた第3項、第4項を進めて成果を出し、論文化することを目標としている。
|
Causes of Carryover |
研究実績の概要で述べた第3項にあるRNA-seqのサンプル提出が今年度中に完了しなかったため、繰越が生じたが、その分は本年度解析時に使用予定である。
|