2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K16901
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
角木 拓也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70706548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内耳有毛細胞 / 平面内細胞極性 / タイト結合 / 三細胞間タイト結合 / HDAC inhibitor |
Outline of Annual Research Achievements |
1)内耳細胞の再生を目的として、マウス内耳有毛前駆細胞(US/VOT-E36)における細胞遊走およびtight junction, epithelial cell polarity 蛋白の変化をみるために様々な増殖因子およびシグナル伝達阻害剤を処置した。結果、TGF-βR inhibitor (EW), EGFR inhibitor (AG), JNK inhibitor (SP), PYK2 inhibitor (PF43), PKCa inhibitor, HDAC inhibitor (JNJ)において細胞遊走能の明らかな抑制がみられた。3細胞間tight junction 蛋白Tricellulinにおいては、TGF-βR inhibitor (EW), EGFR inhibitor (AG), PKCa inhibitor, HDAC inhibitor (JNJ)において明らかな膜への発現誘導がみられた。Western blottingによるtricellulinを含めたtight junction proteinの発現変化については全ての阻害剤において明らかな変化はみられなかった。JNJ処置によりAcetylated tubulinの発現増加がみられた。
2)難聴のメカニズム解析のために、難聴に関与が知られているHDACおよびautophagyの内耳細胞におけるapoptosisに焦点を当て、マウス内耳有毛前駆細胞(US/VOT-E36)を用いて検討した。HDAC inhibitor TSAおよびJNJ処置により明らかなapoptosisの誘導がみられた。mTOR inhibitorでありAutophagy 阻害剤でもあるRapamycin前処置によりHDAC inhibitorsのapoptosis誘導は阻害された。TricellulinはHDAC inhibitorsにおいて膜へ発現誘導がみられたが、Rapamycin前処置においては変化はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な増殖因子およびシグナル伝達阻害剤を処置した結果、細胞遊走能の抑制などの変化が確認された。またtricellular tight juntion蛋白のTricellulinの細胞膜への発現誘導なども観察され、各種増殖因子、シグナル伝達阻害剤処置による内耳有毛細胞での変化が観察された。このことは内耳細胞の再生についての今後の研究に寄与するものであり、一定の成果があげられた。 また、難聴のメカニズムの解明においてもHDAC阻害剤処置によるアポトーシスの誘導が観察された上に、そのアポトーシス誘導を阻害する因子としてmTOR阻害剤の効果も確認することができた。このことは新規治療法解明に寄与する結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
内耳細胞の再生を目的とした研究においては、3細胞間TJ蛋白としてはTricellulinのほかLSRなども知られており、Tricellulin以外の変化についても免疫染色やWestern blotting、RT-PCRなどで解析する。またそのほか増殖因子およびシグナル伝達阻害剤についても細胞遊走能や3細胞間TJ蛋白に影響の与える因子の有無についてさらなる検討を進める。 また難聴のメカニズム解析を目的とした研究においては、mTOR inhibitorであるRapamycinによりHDAC阻害剤のapotosis誘導が阻害されたことに関連するそのほかの因子について、Western blottingやRT-PCRにより変化のある関連因子を解析する。
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Causes of Carryover |
(理由) 消耗品の使用が予定より少額であったため。また、COVID-19感染流行のため、参加した学会が想定より少なく、旅費も少額であった。 (使用計画) 消耗品費(抗体、培養器具、蛋白およびRNA解析試薬、形態観察用試薬、機能解析試薬など):160万円、旅費(国内学会):20万円、その他(材料費):5万円
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Research Products
(2 results)