2022 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア病モデル内耳細胞を用いたミトコンドリア難聴の病態解明
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22K16912
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上原 奈津美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40570502)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 難聴 / 内耳 / NDUFA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
「難聴」はミトコンドリア病において最も頻度の高い症状であるが、その根本的な治療法は存在しない。マウス由来内耳感覚細胞株を用いて、ミトコンドリア病モデル内耳感覚細胞を作成し、内耳蝸牛におけるミトコンドリアの機能および動態評価を進めてきた。 マウス内耳由来感覚細胞株(HEI-OC1)を用いて、NDUFA1遺伝子に対するsiRNAを用いてNDUFA1遺伝子をノックダウンした。siRNAをトランスフェクションし72時間及び96時間共にqRT-PCRではmRNAで遺伝子発現の抑制を確認しミトコンドリア病モデル内耳感覚細胞を作成した。NDUFA1がタンパクレベルでも発現低下しているか検討を行った。NDUFA1は非常に低分子量のタンパク質であり、ウエスタンブロット法での検出に条件検討を行った。ミトコンドリア機能解析として、まず検出キットを用いて染色しミトコンドリアの膜電位を測定した。正常のHEI-OC1細胞ではH2O2負荷で膜電位が濃度依存的に低下することを確認した。一方で作成した内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルではsiRNAをトランスフェクションし72時間、96時間後では膜電位の低下は認められず更なる検討が必要と考えられた。 また、正常のHEI-OC1細胞のミトコンドリアを検出キットを用いて染色し、蛍光顕微鏡を用いてミトコンドリアの移動能の測定、および形態を観察できるように条件検討を行いミトコンドリア病モデルでも解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、世界情勢から抗体や試薬の海外からの調達に時間を要し 一部実験が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
NDUFA1のタンパク量測定及び移動能の測定の条件設定が整ったので、内耳感覚細胞ミトコンドリア病モデルを用いて測定していく。 膜電位としては、NDUFA1をノックダウンしても変化が見られなかったため残った遺伝子発現でミトコンドリア機能が保たれている可能性があるためsiRNAのトランスフェクションする時間を増やすなど再検討する。 同疾患モデルを用いてさらにOCRなど引き続きミトコンドリア機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
世界情勢に伴い、ヨーロッパからなどからの実験試薬や物品が一部購入で着なかったため。 次年度には供給が改善していることが見込まれる。
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