2023 Fiscal Year Annual Research Report
サイトメガロウイルス前眼部感染症の発症機序における性差や加齢の関与
Project/Area Number |
22K16938
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
針谷 威寛 東北大学, 大学病院, 助教 (60569573)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイトメガロウイルス前眼部感染症 / 続発緑内障 / 水疱性角膜症 / 緑内障濾過手術 / 線維柱帯切除術 |
Outline of Annual Research Achievements |
サイトメガロウイルス前眼部感染症は高眼圧、すなわち続発緑内障を伴う繰り返す炎症発作や角膜内皮細胞密度の減少、角膜浮腫を特徴とする。続発緑内障は難治性となることが多く、眼圧下降のための緑内障手術を要することも多い。緑内障濾過手術である線維柱帯切除術は眼圧下降効果の高い緑内障手術であるが、長期の眼圧維持効果に課題がある。そこで、東北大学病院にて初回の線維柱帯切除術を施行し、1年以上のフォローを行ったサイトメガロウイルス前眼部感染症15例16眼と原発開放隅角緑内障157例157眼を対象に手術成績を解析した。サイトメガロウイス前眼部感染症群の眼圧は術前30.5 ± 9.2 mmHgから術後12ヶ月において12.4 ± 5.0 mmHgと有意に低下した(P < 0.001)。サイトメガロウイルス前眼部感染症群と原発開放隅角緑内障群の濾過胞生存率は、術後1年後にそれぞれ68.2%と73.2%,術後3年後に51.1%と59.8%であり、両群間に有意差はなかった (P = 0.75)。しかしながら、術後合併症として、サイトメガロウイルス前眼部感染症群では16眼中2眼に水疱性角膜症を認め,原発開放隅角緑内障群に比べ有意に高かった (P < 0.01)。サイトメガロウイルス前眼部感染症群では,平均2.7±2.0年のフォローアップ期間中に角膜内皮細胞密度が34.2 ± 22.7%減少した。サイトメガロウイルス前眼部感染症において術後の角膜内皮細胞密度の減少が大きかった原因としては、手術がサイトメガロウイルスの活性化を誘発する可能性や、手術侵襲が与える前房内環境の変化が影響している可能性などが考えられた。
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