2023 Fiscal Year Annual Research Report
ボロン酸とヒアルロン酸の動的結合を利用した新規眼内DDSの開発
Project/Area Number |
22K16939
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 智哉 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (30896311)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Drug delivery system / ボロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体製剤の分子量と同等のモデル分子(150kD)と,モデル分子に複数のボロン酸を修飾した分子を用いて,ボロン酸修飾によりヒアルロン酸溶液中の拡散速度が低下するかを調べるIn vitroの実験を施行した.それぞれの分子を蛍光標識し,ヒアルロン酸溶液(0 mg/mL, 0.2% mg/mL, 1.0 mg/mL)内での拡散時間を測定した(ヒアルロン酸は蒸留水もしくはPBSで溶解). ヒアルロン酸を蒸留水に溶解した場合,ボロン酸非修飾分子の平均拡散時間(単位はマイクロ秒,それぞれヒアルロン酸濃度は0 mg/mL, 0.2% mg/mL, 1.0 mg/mL)は921.5, 1004.0,1033.3と溶液の粘性増大に比例して上昇する傾向を認めた.ボロン酸修飾分子の平均拡散時間はそれぞれ997.8, 1057.5,1173.2であり,拡散時間の比率(ボロン酸修飾/非修飾)はそれぞれ,1.08,1.05,1.14とヒアルロン酸濃度の上昇と共に増大する傾向を認めた. PBS溶液でヒアルロン酸を溶解した場合,ボロン酸非修飾分子と修飾分子の平均拡散速度(それぞれヒアルロン酸濃度は0 mg/mL, 0.2% mg/mL, 1.0 mg/mL)は925.7, 953.4, 1062.2と958.2, 1002.8, 1177.1であり,拡散時間の比率はそれぞれ,1.03,1.05,1.08とヒアルロン酸濃度の上昇と共に増大した. 以上の結果より,ボロン酸修飾によりヒアルロン酸溶液内の拡散速度が低下すると考えられ,硝子体内での薬剤の拡散速度低下・眼内滞留性の上昇に応用できる可能性が示唆された.今後は家兎を用いたin vivoの実験を行う予定である.
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