2022 Fiscal Year Research-status Report
近視性緑内障病態解明のための眼位変化時の視神経乳頭構造および眼血流の解析
Project/Area Number |
22K16945
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宇田川 さち子 金沢大学, 附属病院, 視能訓練士 (00924747)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近視性緑内障 / 視神経乳頭深部構造 / 眼血流 / 眼位変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、眼位変化によって生じている視神経乳頭への負荷を光干渉断層計(OCT)と眼血流動態測定装置(レーザースペックルフローグラフィー)を用いて検証し、近視眼と近視性緑内障眼の相違点、発症機序、危険因子を明らかにすることである。 通常の眼科検査においては、眼を正面に向け、カメラを眼に対して真っ直ぐにした状態で撮影する。本研究では、光干渉断層計(OCT)と眼血流動態測定装置(レーザースペックルフローグラフィー)を用いる。令和4年度は、「正面視、内転15°、30°」の各々の眼位でOCTとレーザースペックルフローグラフィーの測定を行い、データ収集を行った。しかしながら、目標症例数には達しておらず、令和5年度も継続的にデータ収集を行う計画である。途中経過のOCTデータの解析結果を示す。3つの眼位条件下で正確に同一部位を撮影した結果(正常眼23眼、緑内障眼34眼)、中心窩と乳頭のブルッフ膜開口部中心を結ぶ線上での乳頭断面において、眼位が正位の状態に対して15°、30°内転では、乳頭耳側の網膜傾斜は有意に大きく乳頭鼻側の網膜傾斜は逆に有意に小さくなり、15°よりも30°のほうが有意に顕著であった。乳頭の両側の網膜傾斜変化の和は、30°内転で約1.2±0.1°であった。この傾斜変化は緑内障眼のほうが正常眼よりも有意に大きく、高齢ほど大きかった(40歳よりも70歳の方が約2倍)が、年齢で調整すると緑内障眼は正常眼と差がなかった。ブルッフ膜開口部間長は15°内転よりも30°内転のほうが有意に大きく短縮し、ブルッフ膜開口部傾斜が大きいほど短縮が大きかった(傾斜0°は2°の2倍)。一方、前部篩状板深度(ブルッフ膜開口部)は15°、30°内転いずれにおいても有意な変化はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、非近視正常眼、近視正常眼、非近視緑内障眼、近視緑内障眼のデータを各々100眼収集を達成する予定であったが、目標症例数に到達ができなかった。そのため、データ解析開始が予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
非近視正常眼、近視正常眼、非近視緑内障眼、近視緑内障眼のデータを各々100眼を目標としており、目標症例数を達成できるように取り組む。データ解析に向け、ソフトウエアや統計解析ソフトの整備を行う。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、出張制限が設けられており、WEBでの学会参加となったことなどから、旅費使用額が予定よりも少なかった。物品費については、目標症例数に到達しておらず、解析用パソコンへデータを移動するためのハードディスクの購入、解析ソフトの購入を行わなかったためである。令和5年度は研究成果の報告を現地開催の学会にて行う予定としていること、解析や論文化に必要なソフトの購入を予定している。
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Research Products
(4 results)